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つだみつぐ
つだみつぐ
novelistID. 35940
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自選句集

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2016年



鏡餅の少し乾きて君発ちぬ

八人が七人になり初句会

一人分の冷たき豆腐切る朝

採血の針の尖りて冬深し

此岸にも彼岸にも雪降りやまず

朝霞より廃鉱の塔生るる  (生るる=あるる)

小さき歌残して去らむ冬茜

違うでしょ違わないよと姉妹

狸轢かれ小さき耳に春の雨

二枚下さい春の一日乗車券

四台の自転車春の岬まで

断ち切って光の春の土手を行く

年経りしマンボウのやうに春の逝く

革命も一揆もなくて菜種梅雨

いくたびも宙への試行揚雲雀

走り梅雨始まる前に終る恋

君のいない畑たわわに蜜柑実る

反核の署名簿抱いて君の夏

素麺を水で洗えば祖父のこと

虚空より哀しみの降る迎え梅雨

家族ひとつほどけて今朝は知らない夏

軍艦島霞むあの頃革命を信じていた

長梅雨や離婚届は変色す

缶蹴りの缶を立てればねじり花

恩寵の海風来る炎天の畑

切れ切れの相撲中継茄子畑

鎌一つ下げ大夕焼に帰る

お盆だから君の鎖をはずしてあげる

エストニアからの文来る秋立つ日

トマト切る僕をまぶしそうに見ていたね

中に君がいるからポーチは見せられない

笑っちゃうくらい辛いの青りんご

誰か来る気がして秋の川に佇つ

あのひとの夕食のための栗を剥く

あの夏の記憶椅子の下のヘアピン

君のせいじゃないよと月の光降る

子の指のやうやう届く葡萄棚

手の中に椎の実ふたつ眠る吾子

黒馬に見つめられ阿蘇に初時雨

幕上がり合唱団員となる秋

里いもをころころと煮て君を待つ

セロリの香と一緒に君は帰ってきた

帰れたらあのサボテンに水をやろう

一分半遅刻よと君は冬帽子

蛙なら始発電車に轢かれたわ

歩道橋に三毛猫がいて冬うらら

反論を思いつかずにのっぺ汁

言い合えば愚痴の尽きない葱畑

あごの傷に照れ棟梁の飲むココア

癌なのとあとは無言の冬の夜半

さらさらと時は零れて暦果つ

−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−−

しかし、萌句会にあっても、わたしと主宰の前川氏の句以外はすべて有季定型であった。そのことにわたしは失望した。
萌句会は二本立てで、互選(二句投句五句選句。うち一句を特選とする。)のあとに主宰が二句特選、五句並選を選ぶ。
いつもわたしの句は互選では票が少なかったが、主宰は高く評価してくれた。句会のたびに4〜5割の確率でわたしの句は特選に入った。
簡単に言えば主宰だけがわたしの句を評価してくれたのだ。無季であろうと自由律であろうと。

ただ、わたしは伝統俳句を捨てたわけではない。大瀬戸句会にも趣句会にもいまも参加して、有季定型の句を投句している。まあ、文語・伝統的仮名遣いはほぼやめたけど。
ただ、その二つの句会では相変わらず低空飛行が続いている。

伝統俳句はわたしには合わないのか?

作品名:自選句集 作家名:つだみつぐ