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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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そこには絶対に行きたくない!

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「いやだーー幼稚園なんて行きたくない!!」

子供は頑として道路から動こうとしない。

「ほら、早く立つんだ。
 もうみんな幼稚園についているころだぞ!」

「いーーやーーだーー!
 行きたくないったら、行きたくない!!」

お地蔵さんのようになった息子を引きずりながら
必死に幼稚園への道を進んでいくが
周りの目も集めるし息子は騒ぐしで大変なことに。

「なんでそんなに行きたくないんだよ!」

「パパにわかるもんか!」

「ぐぅっ……」

危うくひっぱたきそうになったが、
振り上げた平手をぐっと抑える。

落ち着け、クールダウン。クールダウン。

よく考えれば、このまま強引に連れて行ったとして
はたして息子は幼稚園でおとなしくするだろうか?

ここはやっぱり、大人としてちゃんと説明して
納得させたうえで自主的に幼稚園に行ってもらうしかない。

「いいか、幼稚園は確かに嫌な場所かもしれないが
 これから大人になるには大事な場所なんだ」

「……そうなの?」

「幼稚園にはいろいろルールが決まっているだろう?
 ご飯を食べる時間だとか、お遊戯の時間だとか、お昼寝とか。
 それで周りに合わせるという社会勉強をしているんだよ」

「うん」

「それに、家にばかりいたら友達もできない。
 幼稚園には嫌な奴もいるかもしれないけど、
 きっといいやつもいるし楽しい子とも出会えるんだ」

「そうだね」

「この社会に認めてもらうには大事な場所なんだ。
 パパもママも幼稚園にはちゃんと行ったんだ。
 息子のお前ができないことじゃないだろ?」

「うん、わかった」

そして、息子は即答した。


「でも行かない」


「なんでじゃあああ!!!」

今の懇切丁寧な説明はなんだったの!?
完全に「わかったよパパ」が出てくる流れだったろう!

「もーー怒ったぞ!!
 本気で怒ったからな!! 許さない!」

「どうするの?」


「社会に溶け込もうとしない奴なんか晩飯抜きだ!
 いいか! 社会に加われない奴に出すメシなんてない!」

 ・
 ・
 ・

その日の夜、息子と父親の分の晩御飯は用意されなかった。

「あんたね、仕事もせずに毎日ゴロゴロして!
 さっさと社会に溶け込む努力くらいしたらどうなの!!」


「いやだーー! 働きたくないぃぃ!!」

父親はダダをこねて叫んだ。