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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「時のいたずら」 第八話

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「うそ、そのようなことあるはずがございません」

「本当だってば。名前で呼んだことなどないからな。生まれてからずっと、母さんって呼んでいたし」

「それはそうですけど、仮にもご自分の実母様のお名前を忘れるなどということが信じられません」

「今の時代では藤が信じられないようなことがいっぱいあるよ。女性も仕事して一生独身で過ごす人もいるし、子供を作らないで夫婦だけで楽しんで人生を終える人もいる。すべて与えられるものじゃなく、自分で決めて行動できるんだよ」

「夫婦になれば自然と子供が出来ますわ。不幸にしてお出来にならない方も見えますけど」

「子供が出来ないようにしているということだよ」

「殿方が我慢されているということですか?」

「うん?なんで・・・そうか、避妊しているんだよ。男性のねあそこに袋かぶせて出しても外に出ないようにする。そうか、女性が薬を飲んで妊娠しないようにするんだよ」

「お薬で子供が出来ないように出来るのですか?」

「出来るよ」

「では許されないような相手の場合は子供を産まなくてよくなるということですね?」

「不倫とか?まさか兄妹とか、ハハハ~」

「笑い事ではございません。真面目なお話です」

「また怖い顔をする。可愛くないぞ」

「優斗さんが女性を蔑むようなことを言われるからです」

「そう感じたのか。それはすまん。謝るよ。そんなつもりではないよ。子供が出来たらまずい関係のことを言ったまでだ」

「女は道具として嫁がされて子供だけ産めば用は果たしたとみられることが悲しいです。ならば、いっそ子供が出来なければ払い済みとなり自由になれるのかと、考えました次第です」

「藤、今の時代そのようなことは無いから安心しろ。男は一人の女性としか結婚できないし、たとえ子供が出来なくても離婚できる理由にはならないんだから」

「それを聞いて安心しました。優斗さんとの間に子供が出来なければわたくしはどうなるのだろうと考えました」

「早いな、もう子供の話か?結婚してないのに」

「藤の心の準備はすでに出来ております」

「そうか、俺には過ぎる女かも知れんな・・・さあ、着いたぞ、ここが紫式部の墓のあるところだ」