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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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ノベリストで一番敷居の高い小説

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いい作品というものは設定の深さにある。

わずかに考えて論理破たんする世界設定や
読んでいて「ありえない」と思える設定の物語は三流だ。

最高の物語というものは、最高の設定があるべきだ。

「さて、どんな設定にしようかな」

物語の主軸のストーリーは決まっている。
ストーカーと女とのスリリングな逃走劇。

ここですぐ書きだしてしまうのが二流。
でも俺は違う。

ここにヨハネ第四教典32章を組み込む。

「ストーカーは神への解脱と進化を求めて
 女を追いつめる、とすれば最高じゃないか!
 安っぽいストーカー活劇ではない超大作ができる!」

うん、これは間違いなく名作だ。
必ずやサイトの歴史に名を連ねるだろう。

「よし、この完璧さを知ってもらうためには
 読者に『ヨハネ第四教典32章』を知ってもらわなくちゃな。
 この物語の設定の深さと緻密さに感動するはずだ」

そのことを、作品の紹介ページに盛り込んだ。


書き進めていくと、ぴたりと筆が止まった。

「うーん、思いつかない。
 この先がまるで思いつかないぞ。
 なにか新しい設定がいるのかもしれない」

神の教典を物語に組み込むまではよかったが、
そのあとにどうやって物語を進めていくか……。

そこで、そこで過去の自作品を読んでいた。
なにか使えるアイデアがあるかもしれない。

結果的には使えアイデアはひとつもなかった。
でも、ひとつの解決策はあった。

「そうだ! この物語と同軸時間状にして、
 この物語にあった事件を組み込めばいいんだ!」

行き止まりで途方に暮れていた作品に光が差した。


自分の過去作品『籠の中のシンフォニー』にある
"ニューヨーク・ジューンブライト殺人事件"を今の作品に盛り込む。

これ以上面白い設定があるだろうか。絶対ない。

そう、今の作品の背後ではまた別の作品が回っているのだ。
なにこの名作。最高すぎる。

筆が乗ってきた俺はさらに作品にスパイスを加える。

「ようし! これに今度使う予定の設定を入れよう!
 俺がこの先で投稿する作品できっと使えば、
 作品同士で世界がリンクしてもっともっと名作になるはず!」

すでに超一流となっていた作品に、
未発表作品というかまだ書いていない作品の設定を加えていく。

今後、その作品が投稿されれば読んだ人が
「あ! この作品、あの作品とつながってる!」と
よだれを垂らしながら大喜びしてくれるに違いない。



「で、できた……!
 できてしまったぞ、全米が震撼する超大作が……!」

緻密にして精巧。
いくつもの物語が組み込まれた名作ができた。

「この傑作をちゃんと楽しんでもらわなくちゃな。
 事前に勉強しておくべきものを書いておこう」


【作品の紹介】――――――――――

この物語は第四教典32章のカマデウスの勝利に関して
独自のディストピア観点にとらわれたストーカーが襲ってくる作品です。

私の過去作品『籠の中のシンフォニー』を必読してください。
読まないと内容がわかりません。

『籠の中のシンフォニー』との世界観を共有しつつも、
ワイールとケツァールとの関係性の裏に秘められた恐るべき計略がわかります。

そして、いくつかちりばめられた設定に関しては
今後私が投稿する作品の中に使われる予定のものです。

なので、現時点では理解できないでしょうが今後の作品を読めば
その設定の深さと緻密さにより感動が深まります。

――――――――――――――――――――


「これでよし、と。
 さっそく投稿しよう!」

小説サイトを根底から揺るがす名作をネットに放流した。
今日が小説界の革命の日だ。




でも評価は低かった。

「な、なんでだ?! なんでこの魅力がわからない!?」

納得できない俺のもとに、
たった1件のコメントが投稿された。



ケイオス神話 第64典のガデラス聖戦を勉強してください。
そのうえで私の過去作品『知性』を読めば、
この作品に足らない要素がわかってくるでしょう。 -かなりえずき



「なんだこのクソコメント。
 わけわかんない設定ばかり言いやがって。
 そんなに敷居高くして読むわけないじゃないか」

俺はコメントを無視した。