奇妙劇 薩長同盟
登場人物(男性4女性3)
中岡 慎太郎 (男性) 薩長同盟の立役者。
土方 久元 (女性) 中岡の部下。将軍の子孫。
坂本 龍馬 (男性) 坂本龍馬兼二代目。
西郷 隆盛 (男性) 痩躯。常に犬を連れている。
小松 (男性) 付き犬。犬耳、しっぽ、スーツ。
桂 小五郎 (女性) 武士風のカツラをかぶっている。木戸寛治兼幾松。
謎の女(女性) 三角帽子をかぶっている。
中岡の家(夜)
舞台中央 中央に中岡、その両隣に土方、坂本が立っている。
中岡のみスポットライトで照らされる。
中岡 「時は幕末。禁門の変、長州征伐などがあり、犬猿の仲となっていた薩摩藩と長州藩を和睦させようとする者たちがいた。そう!」
舞台明るくなる。
中岡 「俺たちだ!」
決めポーズ。
中岡 「どうしてこうなった!!」
頭を抱える。
坂本 「だ、大丈夫ですか、ぜよ……な、中岡さん」
中岡 「ああ、大丈夫だ」
土方 「もともとこんな人よ。慣れなさい」
坂本 「ど、努力します……ぜよ。えーと、……」
土方 「土方 久本よ。だっさい名前だけどね」
後半、ぼそっと。
坂本 「申し訳ない……ぜよ」
舞台暗くなり、中岡のみスポットライトで照らされる。
中岡 「こんなはずじゃなかったのに……。漫画みたいに、突然、戦国時代にタイムスリップしても大丈夫なように勉強はしてた。戦国時代より幕末のほうがいいなと思ったから、幕末についても勉強した。だから、タイムスリップして中岡慎太郎になっても対応できた。なのに数か月前……」
舞台暗転
道(昼)
舞台明るく。
中岡と坂本が歩いている。
坂本 「いやあ、中岡さん。おまんはまっことすごいお方ぜよ」
中岡 「いやいや、自分なんて、坂本さんのほうがすごい人になるんですから」
坂本 「薩長同盟のぅ。うまくくいくかの」
中岡 「坂本さんなら、絶対できますって」
坂本 「そうかのぅ」
土方、反対側から走ってくる。
土方 「み、見つけたわよ」
坂本 「なんじゃ、おまん。中岡さん、しっちゅうがか?」
中岡 「いや、知らないですけど」
土方 「坂本 龍馬だな」
坂本 「いかにも、坂本ですが」
土方 「死ねええぇぇぇぇ」
ナイフをもって、坂本に体当たりする。
坂本、倒れる。
坂本 「おまんのような、娘が刺客とは……。油断したぜよ」
中岡、坂本を抱き起す。
中岡 「お、おい。坂本? 坂本ぉ!」
坂本 「薩長同盟の夢、たくす、ぜ……よ……」
坂本、ぐったりする。
中岡 「坂本? おい、こんな時に死なないよな? まだ、暗殺される時期じゃないよな? おい」
土方 「これで、これで、あたしは裕福な暮らしができる。ははははははははははは」
土方、ふらつきながら退場しようとする。
中岡 「ちょっと待て!」
中岡、土方につかみかかる。
中岡 「どこのだれか知らないけど、なにしてくれてんの!? あんた、自分が何したかわかってるの!?」
土方、中岡の手を払いのける。
土方 「あたしは坂本龍馬を、殺したの。あんたにはわかんないと思うけど、これで徳川幕府はおわんないの」
中岡 「……なにいってんの?」
土方 「この時代の人間には理解できないわよね。でも、これは確定だから」
中岡 「いや、あの……」
土方 「あ、捕まらないわよ。帰るから」
中岡 「……帰るって、どこに」
土方 「昭和。あんたにいってもわかんないでしょうけど」
中岡 「どうやって?」
土方 「あたしをこっちに飛ばしてくれた魔法使いさんの力で。あ、魔法使いなんていってもわかんないか」
中岡 「……あんた、名前は?」
土方 「冥土の土産に教えてあげる。あたしは徳川喜子。近い将来、将軍になる人よ」
中岡 「……もしかして、徳川慶喜さんの子孫ですか。昭和から来た」
土方 「そうよ。あれ? なんで理解できんの? ひょっとしてエスパー?」
中岡、再びつかみかかる。
中岡 「未来から来て、何してくれてんの!? 龍馬死んだくらいじゃ、徳川政権続かないから! そもそも、おんなじゃ将軍になれないからぁぁ!」
土方 「え? マジで?」
中岡 「いや、まあ、俺の予想も入ってるけど……」
中岡、手を放す。
土方 「じゃあ、きっと大丈夫よ。将軍にあたしはなる!」
中岡 「いや、そこは予想じゃねえよ!」
土方 「えー、そんなー。せっかく時を超えて将軍になるため頑張ったのに……」
中岡 「それよりも、龍馬死んだんだけど!? どうしてくれんの!?」
土方 「え? 別に薩長同盟なくなるだけっしょ?」
中岡 「それで済むわけないだろ! 最悪、歴史が変わって俺たちが生まれなくなるかもしれないんだぞ」
土方 「え! それ困る! どうにかしてよ」
中岡 「どうにかできたら苦労してないわ!」
土方 「もー、なんでそんなめんどくさいことになってんのよ」
中岡 「あんたのせいだよ!!」
土方 「じゃあ、あたしも手伝ってあげるからどうにかしてよ」
中岡 「どうにかって……龍馬死んでるし……」
土方 「あんたいつの時代から来たか知んないけど、生き返らせたりできないの?」
中岡 「できねえよ!」
土方 「使えないのね……。じゃあ、姿を変えたりできないの?」
中岡 「できねえ……そうか。それだ!」
土方 「なになに〜?」
中岡 「亀山社中に龍馬に顔が似てるやつがいるんだよ。そいつを代わりにして」
土方 「さっすが〜! ところで、そのかめなんとかってなに?」
中岡 「亀山社中だ、のちの海援隊」
土方 「へえ〜。そんなのもあるんだ〜」
中岡 「…………。おまえにも手伝ってもらうぞ。土方 久本」
土方 「えー。なにその変な名前」
中岡 「俺の仲間でいるはずなのに、いないやつの名前だ」
土方 「ふーん。まあ何とかしてよね」
舞台暗転
中岡の家(夜)
舞台中央 中央に中岡、その両隣に土方、坂本が立っている。
中岡のみスポットライトで照らされる。
中岡 「かくして、現在に至る」
舞台明るく
坂本 「それで中岡さん、どうするんですか……ぜよ」
中岡 「長州の桂、薩摩の西郷と話をつける」
土方 「各地の代表者ね」
中岡 「まずは、俺が長州の桂のほうに行く。坂本は薩摩の西郷のほうにいってくれ。こっちの話がまとまったら俺が西郷のほうに合流する」
土方 「あたしは?」
中岡 「お前は、俺と一緒に長州に行き、反薩摩派の連中と話してくれ」
土方 「……はーい」
坂本 「自分、どう話したらいいかわからない……ぜよ」
中岡 「そこはカンペ用意しとくから大丈夫だ」
土方 「カンペってなによ?」
中岡 「カンニングペーパー。違うな。えーと、メ・モ。これも違うな……」
土方 「まあいいわ。意味はなんとくなく伝わるから」
中岡 「さぁ、行きますよ! 坂本さん! 土方さん!」
坂本 「わかった……ぜよ」
土方 「わかったわ」
中岡 慎太郎 (男性) 薩長同盟の立役者。
土方 久元 (女性) 中岡の部下。将軍の子孫。
坂本 龍馬 (男性) 坂本龍馬兼二代目。
西郷 隆盛 (男性) 痩躯。常に犬を連れている。
小松 (男性) 付き犬。犬耳、しっぽ、スーツ。
桂 小五郎 (女性) 武士風のカツラをかぶっている。木戸寛治兼幾松。
謎の女(女性) 三角帽子をかぶっている。
中岡の家(夜)
舞台中央 中央に中岡、その両隣に土方、坂本が立っている。
中岡のみスポットライトで照らされる。
中岡 「時は幕末。禁門の変、長州征伐などがあり、犬猿の仲となっていた薩摩藩と長州藩を和睦させようとする者たちがいた。そう!」
舞台明るくなる。
中岡 「俺たちだ!」
決めポーズ。
中岡 「どうしてこうなった!!」
頭を抱える。
坂本 「だ、大丈夫ですか、ぜよ……な、中岡さん」
中岡 「ああ、大丈夫だ」
土方 「もともとこんな人よ。慣れなさい」
坂本 「ど、努力します……ぜよ。えーと、……」
土方 「土方 久本よ。だっさい名前だけどね」
後半、ぼそっと。
坂本 「申し訳ない……ぜよ」
舞台暗くなり、中岡のみスポットライトで照らされる。
中岡 「こんなはずじゃなかったのに……。漫画みたいに、突然、戦国時代にタイムスリップしても大丈夫なように勉強はしてた。戦国時代より幕末のほうがいいなと思ったから、幕末についても勉強した。だから、タイムスリップして中岡慎太郎になっても対応できた。なのに数か月前……」
舞台暗転
道(昼)
舞台明るく。
中岡と坂本が歩いている。
坂本 「いやあ、中岡さん。おまんはまっことすごいお方ぜよ」
中岡 「いやいや、自分なんて、坂本さんのほうがすごい人になるんですから」
坂本 「薩長同盟のぅ。うまくくいくかの」
中岡 「坂本さんなら、絶対できますって」
坂本 「そうかのぅ」
土方、反対側から走ってくる。
土方 「み、見つけたわよ」
坂本 「なんじゃ、おまん。中岡さん、しっちゅうがか?」
中岡 「いや、知らないですけど」
土方 「坂本 龍馬だな」
坂本 「いかにも、坂本ですが」
土方 「死ねええぇぇぇぇ」
ナイフをもって、坂本に体当たりする。
坂本、倒れる。
坂本 「おまんのような、娘が刺客とは……。油断したぜよ」
中岡、坂本を抱き起す。
中岡 「お、おい。坂本? 坂本ぉ!」
坂本 「薩長同盟の夢、たくす、ぜ……よ……」
坂本、ぐったりする。
中岡 「坂本? おい、こんな時に死なないよな? まだ、暗殺される時期じゃないよな? おい」
土方 「これで、これで、あたしは裕福な暮らしができる。ははははははははははは」
土方、ふらつきながら退場しようとする。
中岡 「ちょっと待て!」
中岡、土方につかみかかる。
中岡 「どこのだれか知らないけど、なにしてくれてんの!? あんた、自分が何したかわかってるの!?」
土方、中岡の手を払いのける。
土方 「あたしは坂本龍馬を、殺したの。あんたにはわかんないと思うけど、これで徳川幕府はおわんないの」
中岡 「……なにいってんの?」
土方 「この時代の人間には理解できないわよね。でも、これは確定だから」
中岡 「いや、あの……」
土方 「あ、捕まらないわよ。帰るから」
中岡 「……帰るって、どこに」
土方 「昭和。あんたにいってもわかんないでしょうけど」
中岡 「どうやって?」
土方 「あたしをこっちに飛ばしてくれた魔法使いさんの力で。あ、魔法使いなんていってもわかんないか」
中岡 「……あんた、名前は?」
土方 「冥土の土産に教えてあげる。あたしは徳川喜子。近い将来、将軍になる人よ」
中岡 「……もしかして、徳川慶喜さんの子孫ですか。昭和から来た」
土方 「そうよ。あれ? なんで理解できんの? ひょっとしてエスパー?」
中岡、再びつかみかかる。
中岡 「未来から来て、何してくれてんの!? 龍馬死んだくらいじゃ、徳川政権続かないから! そもそも、おんなじゃ将軍になれないからぁぁ!」
土方 「え? マジで?」
中岡 「いや、まあ、俺の予想も入ってるけど……」
中岡、手を放す。
土方 「じゃあ、きっと大丈夫よ。将軍にあたしはなる!」
中岡 「いや、そこは予想じゃねえよ!」
土方 「えー、そんなー。せっかく時を超えて将軍になるため頑張ったのに……」
中岡 「それよりも、龍馬死んだんだけど!? どうしてくれんの!?」
土方 「え? 別に薩長同盟なくなるだけっしょ?」
中岡 「それで済むわけないだろ! 最悪、歴史が変わって俺たちが生まれなくなるかもしれないんだぞ」
土方 「え! それ困る! どうにかしてよ」
中岡 「どうにかできたら苦労してないわ!」
土方 「もー、なんでそんなめんどくさいことになってんのよ」
中岡 「あんたのせいだよ!!」
土方 「じゃあ、あたしも手伝ってあげるからどうにかしてよ」
中岡 「どうにかって……龍馬死んでるし……」
土方 「あんたいつの時代から来たか知んないけど、生き返らせたりできないの?」
中岡 「できねえよ!」
土方 「使えないのね……。じゃあ、姿を変えたりできないの?」
中岡 「できねえ……そうか。それだ!」
土方 「なになに〜?」
中岡 「亀山社中に龍馬に顔が似てるやつがいるんだよ。そいつを代わりにして」
土方 「さっすが〜! ところで、そのかめなんとかってなに?」
中岡 「亀山社中だ、のちの海援隊」
土方 「へえ〜。そんなのもあるんだ〜」
中岡 「…………。おまえにも手伝ってもらうぞ。土方 久本」
土方 「えー。なにその変な名前」
中岡 「俺の仲間でいるはずなのに、いないやつの名前だ」
土方 「ふーん。まあ何とかしてよね」
舞台暗転
中岡の家(夜)
舞台中央 中央に中岡、その両隣に土方、坂本が立っている。
中岡のみスポットライトで照らされる。
中岡 「かくして、現在に至る」
舞台明るく
坂本 「それで中岡さん、どうするんですか……ぜよ」
中岡 「長州の桂、薩摩の西郷と話をつける」
土方 「各地の代表者ね」
中岡 「まずは、俺が長州の桂のほうに行く。坂本は薩摩の西郷のほうにいってくれ。こっちの話がまとまったら俺が西郷のほうに合流する」
土方 「あたしは?」
中岡 「お前は、俺と一緒に長州に行き、反薩摩派の連中と話してくれ」
土方 「……はーい」
坂本 「自分、どう話したらいいかわからない……ぜよ」
中岡 「そこはカンペ用意しとくから大丈夫だ」
土方 「カンペってなによ?」
中岡 「カンニングペーパー。違うな。えーと、メ・モ。これも違うな……」
土方 「まあいいわ。意味はなんとくなく伝わるから」
中岡 「さぁ、行きますよ! 坂本さん! 土方さん!」
坂本 「わかった……ぜよ」
土方 「わかったわ」