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目覚めて二人におはようを

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 減点いち、と呟きながらさっきさんざんしたはずのことを繰り返す。最初は真冬が背伸びして、今度は私が体を屈めて。「瑞奈さんじゃなくて瑞奈」
 結菜のいないときには、ですけどね。弾んだ声が翻って、私の部屋のドアは閉まった。はああああ、と長い溜息がこぼれる。めっちゃ泥沼じゃんこれどうしよう。どうしようどうしよう、でもまあどうにかなるかも、とか思ったりもする。っていうかむしろどうにかなりたくない?この温かい泥沼に三人で沈んでみるのも悪くないかもしれない。ううん、悪くてもいい。どうせ片足突っ込んでるんだし。いまのとこ、結菜も真冬も、ついでに私も引き分けだ。
 時計を確認すると四時にちかい。もう秋の半ば、日の出の気配はまだまだ地平線の底に隠れたままで覗けない。輪郭の不確かな星もまばらなそらを窓越しに眺めているとあくびが出る。こりゃ午前中潰れるなあ、けど疲れたしそれくらいは大目に見てほしい。明日からどういう顔して結菜と真冬に会えばいいんだろうか、とは思わなかった。結菜には結菜の、真冬には真冬の私で会うだけのことだから。妹と、付き合ってる人と同じ屋根の下、とりあえずゆっくりおやすみなさい。あした、ふたりにおはようをするまで。
作品名:目覚めて二人におはようを 作家名:倉庫