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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「背徳の恋愛」 未亡人の誘惑 第三話

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「ボクはね亡くなった妻を愛していた。それは女と言うより母としてそして何より父や母と仲良くしてくれていた。いまどきの女性にはなかなか出来ないことだと思っている。今でも両親に会うと妻のことを話されるよ。それぐらいに本当の親子みたいに接していたんだ」

「そう、素敵な奥様でしたね。私へは女として興味を惹かれた?って言うことよね。そうだとしたら」

「ああ、そうなるね。妻の葬儀は思い出すと悲しいというよりやれやれと言う感じだった。入退院を繰り返していてきっと辛かったと思う。楽になって良かったとボクも両親も話していたからね」

「奥様私と同じガンでしたよね・・・自分は生きていることに感謝しないといけないと思うわ。同時にあなたの亡くなった奥様の分まで生きないとって感じる」

「妻の分まで生きる?」

「そう、同じ女として、あなたを好きな女としてね」

「嫉妬されるんじゃないかな、あの世から見ているよ、きっと」

「ううん、私の代わりに正治さんをお願いって感じてらっしゃるわよ。正治さんが嫌じゃなければ忌明けになったら真面目に私とのことを考えて欲しいって思うの、ね?」

「麻子さん・・・再婚をしたいと直ぐには思わないけど、この年齢からの結婚は介護と言うハンディーがついてくるよ。それを覚悟で本気になれるの?」

「そうね、まずは両親の介護よね。綺麗事や愛情があれば乗り越えられるなんて甘い考えじゃ夫婦関係が壊れてしまうと思うよ。実感はないけどそれは解るの。私には姉が居るから健康なら両親の世話は二人で出来る。正治さんは妹さんが離れて暮らされているからずっと世話を頼めないわよね。弟さんのお嫁さんと私とで頑張るようにしないとね」

「両親は今の所元気だし介護はまだ十年以上先に感じるけど、麻子さんのそういう気持ちには感謝するよ。忌明けになったらまたゆっくりと話そう。お線香を交換して寝ようか?もう二時回っているし」

「そうね、私が換えてくるから先に寝てて頂戴。隣は姉が居るのでここで布団敷いて」

「そうするよ。じゃあ明日」

麻子はゆっくりと障子を開けてスリッパを履いて祭壇へと歩いて行った。その後姿は薄暗い会館の明かりに照らされて正治には何か艶めかしく感じられた。
後ろ姿が美しい女性はいい女だと言われる。ヒップラインとくびれたウェストラインがよりそのことを印象付ける。