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てっしゅう
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novelistID. 29231
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歴史に学ぶ恋愛、その一

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歴史の勉強を特にしていなくても名前を聞いたことぐらいはある女性「額田王(ぬかたのおおきみ)」と言う人が居ました。

大雑把に言いますと、彼女は天皇の身の回りの世話をする「采女(うねめ)」と言う身分でした。
采女になるには知性と美貌を備えていないとなれなかったのです。

絶世の美女と言われている額田王は万葉集にも納めらているほどの歌人でもありました。
大化の改新を成し遂げた中大兄皇子(なかのおおえのみこ)の弟である大海人皇子(おおあまのみこ)に見初められて恋仲になり婚姻します。

そして十市皇女(といちのひめみこ)をもうけます。
その後夫の兄である中大兄皇子から自分の娘(大田皇女=おおたのひめみこ、野讃良皇女=うののさららのひめみこ)二人と交換に大海人から離れて中大兄に再稼します。

簡単に言うと横恋慕して、弟に「嫁さんをくれ。その代わり若くてピチピチの娘二人をくれてやる」と申し出たのです。
この時代天皇家は男子の後継者を確保するため数人の妻をめとります。

中大兄には天皇家ではない妻との間に皇子が居ました。大友皇子(おおとものみこ)です。

朝鮮半島の雲行きがおかしくなってきた時期(661年頃)に飛鳥政府(王朝)は天皇家一族を筆頭に軍団を引き連れて九州の那の大津(現在福岡県博多港)へと向かう途中で今の道後温泉のある辺りで休息します。

大海人皇子の妻となっていた15歳?の野讃良皇女(以下略して、さららと言います)は、夫とちょっとしたことでケンカをして怒って一人でお風呂に入ります。そこでバッタリと額田王と鉢合わせになります。

さららは自分が額田から夫を奪ったと感じているのでバツが悪く思っていました。
二人は湯船で語り合います。

「大海人さまはまだ額田を愛しているわ。それは解るの。お父様(中大兄皇子)にどうして大海人さまは愛している人を譲ったのかしら?」と言うさららに対して額田は答えます。

「男の人には男の人なりの事情がありますから」

会話は続きます。