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てっしゅう
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「背徳の恋愛」 未亡人の誘惑 第一話

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午後九時を回って会館には麻子と美代子と正治の三人だけになった。
弟の修二は明日の仕事が休めないと帰って行った。次は葬儀の時に来る。
麻子には子供が居なかった。最初の子供を妊娠した時に子宮頸がんが見つかり、出産を諦め、夫婦で相談して摘出手術を受けた。

考えてみたらこの時からこの夜に聞かされる悲しみは始まっていたのかも知れない。
そう考えると麻子がいとおしく感じる。
出前を取って夕食を済ませて、会館の近くにあった日帰り温泉施設で風呂を使い、戻ってきて敷かれていた布団をしり目に隣の部屋でビールを飲みながら、三人は向かい合っていた。

「今日はお疲れ様でした。正治さんにはご無理を聞いて頂いて、女二人での居残りが心細く思っていたので本当に嬉しいです」

「美代子さん、こんなことぐらい妻の葬儀のお返しだと思っていますから気を使わないで下さい」

「もう三年ぐらいになりますわね、奥様が亡くなって」

「三周忌を内々で済ませましたから、そうですね。早いものです」

「おひとりでお寂しくはないんですか?変な事聞きますけど」

「娘が時々訪ねてくれますから、その時にいろんな話を聞いてもらったり、掃除や片付けをやってもらっています」

「娘さんって一人暮らしされているのですか?」

「ええ、妻が亡くなった翌年からそうしています。息子は転勤で九州なのでめったに会えませんね。男の子は母親には会いに来るのでしょうけど、父親にはさほど用事は無いようです」

「まあ、そんなこと言って。確かに私の所も息子は盆正月でさえ来ない時があるから自由にしているなあ~って思いますわ。こういう時の娘頼りですね」

美代子には東京へ就職した息子が居た。娘は手元に居るが、仕事がサービス業で不規則な時間で休みも不定休のシフトで急な出来事があると調整が大変だと、今回も葬儀だけしか来ないことになっていた。
従って今夜はこの三人が通夜を任されることになったのだ。

麻子は正治と話がしたいと美代子に伝えて席を外してもらった。
じゃあと言って寝床に入るとふすまを開けて隣の部屋に移った。