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二つ池大学演劇部部長、村田!

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二つ池大学演劇部部長、村田!


登場人物 二人

○村田(男でも女でも)
○鈴木(男でも女でも)



4月。ここ、国立二つ池大学にも、新入生を迎える春がやってきた。
演劇部部室



村田「こんにちはー・・・うっげほげほ・・・なんだ、埃だらけだな・・・。あの、演劇部の部室ってここでいいんですかねえ・・・」

鈴木「あ、もしかして入部希望の新入生?わー、よくぞ来てくれました!」

村田「あの、私演劇とか全然やったことないんですけど・・・」

鈴木「大丈夫大丈夫!大学から始めるって人もたくさんいるからね。どうぞ」

村田「あ、失礼します」

鈴木「じゃあとりあえずこの紙に名前だけ書いてくれる?はい、鉛筆ね」

村田「はい」

鈴木「はいどうも。部長!」

村田「・・・・」

鈴木「部長!!」

村田「・・・?(後ろを見てみる)」

鈴木「部長!」

村田「・・・(前を見る)あっ!私か」

鈴木「部長!」

村田「え!?部長!?」

鈴木「私は四年生、鈴木です。バレー部兼、演劇部です。なので、いい加減な気持ちで演劇やってます。部員は私一人ですが、よろしくね部長」

村田「え・・・?え?そうなんですか・・・?ていうか部長って何?」

鈴木「私は部長をやるほどモチベーションが高くないので・・・本気で演劇やりたいって新入生に部長は任せようって、話になったみたいなんです。すんません」

村田「話になったって。部員あなたひとりなんでしょ。あんたが言ったんでしょ!」

鈴木「あ、ばれてる・・・」

村田「なんなの」

鈴木「さっきあなたに名前を書いてもらったこの紙。よく見てください」

村田「・・・え?演劇部、入部長届・・・・?そんな!」

鈴木「そう。つまりあなたは今日から演劇部の部長なんですよ」

村田「てっきり入部届だと思ってサインしたのに。まさか入部長届けだったなんて。詐欺だ!こんなの無効です!消しゴムかしてください」

鈴木「ええ〜?」

村田「ええ〜じゃないですよ。早く消しゴム!」

鈴木「(しぶしぶ消しゴムを渡す)・・・どうぞ」

鈴木「マシュマロですけど」

村田「マシュマロかこれ!」

鈴木「(もう一つポケットからマシュマロを出して食べる)うまい」

村田「ほんとだうまい(入部長届けを破る)くそ!!」

鈴木「ああーーーー!!」

村田「はあ、はあ、うっげほげほげほ・・・ていうか、もー!埃が舞う!なんでこんなに埃っぽいんですかこの部屋!」

鈴木「毎年部活に来たときには換気してるんだけど・・・なにせ私も部活に参加するのはこれで四回目だからな」

村田「え!?・・・年一!?」

鈴木「毎年、この日にね」

村田「むしろすごい!忘れないで来てるのがすごい!むしろマメ!」

鈴木「はは、そんなほめたって君は部長だぞ!」

村田「いや部長じゃないんですけど!」

鈴木「あれ?部長って名前なんだったっけ?」

村田「村田です!!!あだ名だけ覚えてて本名思い出せない時みたいな聞き方やめてください」

鈴木「あ、村田さんか・・・!すみません部長さん」

村田「いや村田です。もう間違ってますよ」

鈴木「武藤さん?(部長のイントネーションで)」

村田「違う!む!」

鈴木「む!」

村田「ら!」

鈴木「ら!」

村田「た!」

鈴木「た!」

村田「村田!」

鈴木「むちょう!」

村田「むちょうってなんだよ!違うよ!部長によっちゃってるよ!」

鈴木「あれ?」

村田「村田!」

鈴木「むちょう!」

村田「村田!」

鈴木「むちょう!」

村田「村田!」

鈴木「武将!!」

村田「いや部長だろ!!あ!!!」

鈴木「あー、いま言いましたね、部長になるって言いましたねーー!」

村田「言ってねえよ!」

鈴木「もー。」

村田「・・・。もーって。」

鈴木「わかりました。お財布かしてください」

村田「は!!?」

鈴木「有り金全部出してくださいよ。それで許してあげますから」

村田「・・・・なんだそれ!!ソフトなカツアゲか!」

鈴木「カツアゲ??そんなことしませんよ。中のお札を全部テレフォンカードとすり変えるだけです」

村田「すり変えないでください!!」

鈴木「・・・そうですか?すみませんね」

村田「え?何が?いやべつに無償でお金をあげるってわけじゃないんですけど」

鈴木「もー。」

村田「もーって・・・」

鈴木「さては君、バカ真面目君だな」

村田「はい?」

鈴木「君、出身は」

村田「はい、山梨県笛吹市八代町北4821−3です」

鈴木「生まれて初めて話した言葉は?」

村田「時は金なり」

鈴木「はい!もうわかった!君って本当にばじめだなあーー」

村田「・・・・・・ばじめ・・・?」

鈴木「バカ真面目、略してばじめだよ!!ほんと頭固いんだから。考えてもみなさい。入部してきた新入生が、その日に部長になってはいけないという法律があるのか?」

村田「・・・。いやないですけど」

鈴木「どうして部長がいやなんだ!?やったこともないのに(村田にまじないをかけるように)」

村田「・・・・どうしてって普通いやでしょ」

鈴木「はいでました“普通”!君は、ばじめゆえに新入生は部長になるのを嫌がるのが普通、という思い込みに捕らわれている!」

村田「・・・え?そうなのかな?(鈴木に操られる)」

鈴木「そうです。常識にとらえられてはいけません。想像力をもってすれば、あなたはとても自由なのです。なににだって、なれる」

村田「ほんとう?奈々緒にも?奈々緒にもなれる?(ふわふわしている)」

鈴木「なれるとも」

村田「えい(足を出してみる)」

鈴木「おおおおおおなげええええ!なんて美脚なんだ!!」

村田「うわあー!すげえ!そうか・・・私に欠けていたのは、想像力だったんだ」

鈴木「ほら、これは何に見える?(人差し指をだす)」

村田「ウィンナー(ぼーっとしている)」

鈴木「これは(中指を見せる)」

村田「ウィンナーズ」

鈴木「これは(親指を見せる)」

村田「マナティー」

鈴木「これは(薬指を見せる)」

村田「赤チン」

鈴木「これは(小指を見せる)」

村田「少し細いウィンナー」

鈴木「これは(村田の肩を叩く)」

村田「村田」

鈴木「えええ〜〜そこは部長でしょ〜!空気読んでよ」

村田「なに洗脳しようとしてるんですか!私は中島知子か!」

鈴木「んまっ洗脳だなんて失礼な!(占い師風)」

村田「とにかく、部長なんてやりませんからね」

鈴木「きみさあ、真面目過ぎて、生きるのつらくない?」

村田「真面目で何が悪いんですか」

鈴木「わかんないかなあ・・・。真面目ってのはさあ、生活のありとあらゆる部分で損してるもんなんだよ。たとえば君、免許持ってる?」

村田「あ、はい」

鈴木「駐車場です」



村田、鈴木、運転している。駐車場に、一つの空きスペース。



村田「お、ここ空いてるな。バックで入れよう。ハザードつけてっと。ちょっとすみませんね」

鈴木「ぶーん」



鈴木、村田が駐車しようとしていたスペースにしれっと頭から駐車。