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かなりえずき
かなりえずき
novelistID. 56608
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いい加減ちゃんとリアクションしろっ!

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「いい加減吐いたらどうだ」
「さっきから話してるじゃないか」

「捕まったやつは、みんな同じことを言う。
 けど、足りないんだよ」

「足りない……?」


「リアクションが」


「リア……えっ?」

尋問間は、取調室に妙な装置を取り付けた。

「真実というのは、真実味があってこそ真実だ。
 真顔で淡々と語られても、信じたくなる真実じゃない」

「いや、それより! その装置はなんですか!?」

「これはリアクション検出装置。
 低いリアクションを取った場合は電流が流れる」

「へぇ……ってうおおお! そうなんだ!
 知らなかったなー! びっくりした!」

「ふん……急きょリアクションを大きくして電流を逃れたか」

脂汗がこめかみを伝って落ちる。
さっきまでの尋問とは全く違う緊張感。

ちゃんとリアクションしなければ……俺は黒焦げだ。

「それじゃ、もう一度、最初から質問するぞ」

「ええ!? さっ、最初からですかぁ!?」

「いいリアクションだ」

俺は声を張り上げ必死にテンションを上げる。


「昨晩、自宅の冷蔵庫からプリンが失踪した。
 容器からはお前の指紋が検出された」

「なんだって!? そんなことがあるんですか!?」

「お前が、犯人か?」

「いやいやいや! 違います! 違いますよ!
 確かに冷蔵庫を開けたときに気になって触りましたが、
 フタに書かれている名前を見て戻しました!」

「その大きなリアクション……ウソではなさそうだ」

「信じてくださるんですね!」

リアクションするのに必死だ。
もし、俺が本物の犯人だったら気が気じゃない。

大きなリアクションをしつつ、真実を隠すなんて芸当できっこない。

「凶器のスプーンがお前の部屋から見つかった。
 プリンはスプーンがないと食べれないが?」

「ちっ、違いますよ!
 あれはアイスを食べてたんですっ」

尋問官は腕を組んで長い溜息をついた。


「お前が犯人だな」


「なっ、なんで!?」

このリアクションだけは素で大きくなった。

「リアクションが大きすぎてわざとらしい。
 真実というのは、常にちょうどいいリアクションじゃなくちゃ
 真実味というものがついてこない」

「めんどくさいなっ!」

「そう、そのくらいのリアクションだ。
 相手の質問にちょうどいいリアクションを返せることこそ
 本当の意味での真実といえるだろう」

尋問官は座り直し、顔をずいと近づける。


「で、お前がプリンを食べた犯人なんだな?」


大きなリアクションを取れば疑われる。
小さなリアクションだったら電流が流れる。

一番ちょうどいいリアクションは……。


「……疑われるのも無理はありません。
 僕だという状況証拠がそろっていますから」

まずは声を潜めて、そっと話し始める。
このままだとリアクション検知されて電流の餌食にされる。

俺はここから一気に声を張り上げる。

「でも、違うんです! 僕は食べていないっ!
 なぜなら僕は……そこまでプリン好きじゃないんだっ!!」

完璧なリアクションで答えた。

最初こそ相手に従うような形にしたうえで、
最後に自分の無実を必死に訴えかける。

これ以上、真実味のあるリアクションはないだろう。

尋問官もさすがに納得したような顔をして答えた。






「……あ、そう」

薄いリアクションをした尋問官に電流が流された。