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てっしゅう
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「SNSの恋 ゆみ」 第三話

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「ならそれでもいいよ。ゆみさんがボクを嫌わないようにしないとね。他の男の人に気持ちが移らないように、毎日メールして時々電話してニ、三か月に一度こうして会いに来るから一番のお友達にして」

「わざわざ名古屋から会いに来るって言うの?友達なのに?」

「友達でも好きだからそうするよ。会ってこうして時間を過ごしていることが楽しいし、嬉しい。きっといつかボクのことを好きになってくれると信じることが今の支え」

「てっしゅうさん・・・そんなに思ってくれるほど私は値打ちなんかないよ。64歳のおばあちゃんよ。あなたのいった言葉が信じられないの、ゴメンなさい」

「信じさせてあげるよ。今夜はボクとずっと付き合って欲しい」

「ずっと?帰らないって言うこと?」

「帰したくないって言うこと」

ゆみは黙っていた。時折目線を合わせるが直ぐにうつむいてしまう。
何かを考えているのだろうか、自分の覚悟を決めようとしているのだろうか。

「今日ね、家を出る時に夫にはお友達と銀座に行って飲むから、遅くなったら泊まってくるかも知れないって言ってきた。あなたとそうしようって思っていたんじゃないのよ。でもそう言って家を出た自分が居たの。軽く見ないでね。てっしゅうさんを信じてこれから好きになれるようにする。もし私が拒否したら無理やりしないって約束してくれる?なら泊まってもいい」

それは自分への納得を言い聞かせる確認だったのだろう。
ゆみは拒否するどころか、ベッドでは積極的に絡んできた。前の彼とはどういうセックスだったのかが見て取れた。
声を押し殺して首に巻き付けた腕を強く締め付けて感じていた。

翌朝、隣で寝ているゆみのすっぴん顔は年相応の素顔をしていた。それは昨日の夜の顔とは別人に見えた。
過去の男たちが二度目を誘えなかった理由はこう言うことだったのだろうか。
自分のことを棚に上げて言えないが、男として朝の元気な自分自身を試そうという気にはなれなかった。

ゆみと別れて新宿駅を後に再び中央線で東京駅に向かう自分の気持ちの中には、昨日のゆみへの言葉を撤回したいと後悔し始めていた。
どう言えばいいのだろう。そのことを考えると気が重い。
新幹線の中で飲んだ缶ビールは全くと言っていいほど酔うことはなかった。