「SNSの恋 ゆみ」 第二話
ボクたちは会う約束をした。法事やいろんな行事が重なって少し時間が過ぎて約束は12月になっていた。
都内のイルミネーションがきれいだからそれに合わせて夕方から会いたいとなり、その日は宿泊することにした。もちろん予約は取らずに出かけた。
待ち合わせ場所は新宿プラザホテルのロビー。
その日は夕方の待ち合わせだったので、名古屋駅からハイウェイバスで出かけた。
中央道を新宿まで走る高速バス路線だ。ほぼ満席の状態で午前8時に出発した。
昼食を途中停車した諏訪湖のサービスエリアで買ったおやきとハムバーガーを車内で食べて、少し眠っていた。
やがてバスは新宿に着いた。時間は定刻通り午後三時。
晴れて天気は良かったが外に出ると風が冷たい。ダウンを着て来るべきだと後悔した。
待ち合わせまで少し時間があったので、ぶらぶらしてユニクロでマフラーを買った。
夜の街を散歩するには必要だと感じたからだ。
約束の時間が来た。午後五時。ホテルのロビーに移動した。
スマホが鳴る。
「ごめん、電車一本乗り遅れちゃって10分ほど遅れるの。待っててね」
「いいよ、慌てなくていいから」
「ありがとう。じゃあね」
電話の通り10分ほど遅れて彼女は来た。
ニットのワンピースに赤いマフラーと黒のコートを羽織っていた。
「お待たせ。てっしゅうさん」
「うん、ゆみさん。会いたかった」
「あら、嬉しいわ。どう私?おばあちゃんでしょ」
「そんなことないよ。可愛いよ」
「可愛いだなんて・・・若い子に言う言葉よ」
「そんなことないよ。ゆみさんは想像通りスタイルいいね」
「脱ぐとそうでもないのよ。あら?変な事言っちゃった。撤回」
「撤回しなくてもいいよ。確認の方が良いな」
「冗談を。ねえ、イルミネーションだけど東京駅から銀座まで歩かない?そのあとお気に入りの居酒屋があるから飲みましょうよ」
「いいね。銀座か。久しぶりに行くよ」
「今日はどうするの?最終の新幹線で帰るの?」
「解らない。時間次第。ゆみさんにあわせたいって思う」
「私は新宿から22時なら帰れるの」
「そう。じゃあゆっくりできるね。ゆっくりし過ぎても構わないけど」
ゆみはてっしゅうの顔をちょっと怪訝そうに見た。
作品名:「SNSの恋 ゆみ」 第二話 作家名:てっしゅう