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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「父親譲り」 第十五話

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「この年だし、再婚だから慎重になっているのは確かですが、今日は辞退します。嫌だから言うのではないんです。次回は断りませんので許してください」

「許すとか許さないとかいう問題ではないよ。美津子さんの気持ちが一番だと思っているからね。これから長い間夫婦として暮らそうという時に今日泊まってくれないから嫌になるだなんていうことはないよ。ボクは可愛い美津子さんが好きだよ。ボクのことも好きになって欲しいから気になることは何でも話してほしい」

「ありがとうございます。笹川さんのお気持ちに答えられるように努力しますのでよろしくお願いします。今日断ったのは・・・女の日だからなんです」

「そういうことですか。じゃあ、傍にいてくれるだけで嬉しいのでツインの部屋に変更するから泊まっていって欲しい。いいですよね?」

「はい。」

そう答えて、彼がフロントに行っている間に母に電話した。

「お母さん、美津子。あのね、今日は泊まってゆくので明日の朝早くに帰る。お父さんには黙ってて」

「ええ、急にどうしたんだい?」

「心配しなくてもいいよ。大人だから。帰ったら全部話すから」

「それならいいけど。朝おまえがいないことに気付いたらどうしたんだって聞かれるよ。何と答えておけばいいんだい?」

「会社の研修で泊まっていると話して置いて」

「解った。信じてくれるといいんだけど」

「なんか言ったら、明日帰って来てから話すからと言っておいて」

「気を付けてね。お母さんは信じているよ」

「ありがとう。じゃあ」

母は前に話した婚活で知り合った男性と一緒なんだろうと思っているに違いない。今夜は自分が居ないから父はきっと母と楽しむだろう。
フロントから戻ってきた笹川と一緒に部屋に入って二人は引き寄せられるように抱擁してキスを交わした。

ギュッと強く背中を引き寄せられている安心感と久しぶりの男の匂いが忘れかけていた恋愛感情を刺激する。
笹川は慣れているのだろうか、長い長い時間そうしてキスをしてくれた。
唇を離して彼はゆっくりと話した。

「初めて見たときから好きになっていた。もう離したくないから着いて来てくれないか?」

「はい。こんな私で良ければ」

そのあとはもう一度キスをした。
シャワーを浴びるように言われて、先にバスルームに入った。彼が出てきて同じベッドに腰かけてもう一度キスをした。