小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

からっ風と、繭の郷の子守唄 第91話~95話

INDEX|3ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 「ふぅ~ん。
 ところで、あんたと一緒に働いている長身の相棒だけど、
 あれはいったいどこの何者なの。
 千尋が言うには、あの背格好に、見覚えがあると言う話です。
 白状しなさい。どこの何者なの?」


 「今は白状できない。
 いい男で、俺たちの仲間の一人だ、としか言えない。
 それよりそっちはどうなんだ。
 勝算はあるのか。電気量販店の妹に幸太郎氏を取られないための?」

 「確率って言いなさい。勝算という言葉は好きじゃない」

 「では聞きなおそう。確率はどうなんだ」

 「ゼロかなぁ。有っても、5か10%程度・・・・
 そんなものでしょう、わたしが結婚できる確率的は」

 「ゼロってお前。・・・・いいのかよ、そんなことでも」

 「パパが決めることだもの。私には、どうにもなりません。
 康平が言うように、今からでも手首を切って驚かしてみょうか。
 でもさぁ・・・分かってはいても、そういことができない女なんだよ、
 あたしっていう女は」

 「それで大丈夫か、お前は」

 「なにが?」

 「精神的にさ。
 本当は、まいっているんじゃないのか。無理してないか?」

 「ふふふ。ありがとう。
 そういう風に、本気で心配してくれるのは康平だけね。
 大丈夫です。結果は、なるようにしかならないもの。
 私のことよりも、あんただって大変じゃない。
 千尋をめぐって、男同士の呉越同舟でしょ。
 どちらかが、そのうち沈没する運命になる。
 それは、わたしも同じ。
 あたしは、どうにもならないジレンマの中で、針のムシロ状態です。
 世の中。うまくいかないものですね・・・・」

 「まいったなぁ。全部お見通しか。
 あの男が、京都時代の恋人と気がついているのかな。千尋は」

 「うすうすと感じているようです。
 でも終わったことだと、本人はきっぱり否定しました。
 だけどねぇ。男と女のことは、先のことがわかりません。
 美和子の歌の文句じゃないけれど、赤い糸は、
 どこへつながっているんだろう。
 康平。あんたの赤い糸はどこへつながっているの?」
 
 「俺の赤い糸か・・・
 なんだか、全部まとめて切れちまいそうな気配が漂ってきている。
 たしかに男と女の未来のことは、誰にもわからない。
 一杯飲むか。おごるぞ」

 「いいねぇ、モテない男と女のやけ酒か。
 康平のおごりなら、死ぬほど、たっぷりと飲む!」