イメージ 〈詩集〉
運のいい花
まだ節分も来てないが
色を無くした裸木と土色のなかで
クロッカスの黄色い色が目を惹いている
親鳥の持ってきた餌を
口を大きく開けて待つ雛鳥のように
クロッカスの花が冬の陽を食べている
少し早く咲きだしたが
今年の冬は風も無くおだやかで
クロッカスには力強い茎の支えがある
君たちは運がいい
まだ幼児なのに親におびえ
食事さえ満足に貰えない子どもがいる
この花の咲く土地から
見知らぬ異国へと命をかけて
逃げ出さざるを得ない人たちがいる
この花の咲く早春に
なんの憂いも無く愛でられて
そして花爛漫の春を待てればいいのに