小説が読める!投稿できる!小説家(novelist)の小説投稿コミュニティ!

二次創作小説 https://2.novelist.jp/ | 官能小説 https://r18.novelist.jp/
オンライン小説投稿サイト「novelist.jp(ノベリスト・ジェイピー)」

からっ風と、繭の郷の子守唄 第81話~85話

INDEX|5ページ/15ページ|

次のページ前のページ
 


 「聖パウロカトリック教会は、万人にひらかれています。
 カトリック信者でなくても、いくつか条件を満たせば大丈夫です。
 条件は、たったの4つ。
 1.二人とも初婚であること。(死別の場合は除く)
 2.両親が賛成していること。
 3.立会人がいること。(二人のみの挙式は出来ません)
  立会人は友人、両親でも大丈夫。
 4.式の前に司祭の面接を受けること。
 これだけの条件を満たせば、誰でもここで式をあげられます。
 よかったわねぇ、貞園。処女でなければ駄目とか、
 愛人経験者は徐外するなどと、一切書いてありません。うふふ」

 「よく言うわよ。大きなお世話です。
 そういうあんただって、会社の上司と不倫の真っ最中じゃないの。
 そういう女性も、やっぱりここは、寛大に受け入れてくれるのかしら?」

 「こらこら。内輪揉めはいい加減でやめなさい。
 はしたないですよ、2人とも」

 「そういうあんたこそ、バツイチじゃないの。
 そういう女は、ここでの挙式が出来ないのよ、分かってるのあんたこそ」

 「しぃ~。静かにして。お式がはじまります」

 台湾美女3人の口は、一向に止まらない。
花が飾られ、オルガン演奏者と聖歌隊が本格的な楽曲を奏ではじめる。
ヴァージンロードを優雅に歩いて、純白衣装の花嫁が現れる。
カトリックの挙式は、司祭の先導でおごそかにはじまる。
夫婦の儀式は、一般に見られる誓いのキスではなく、握手になる。
二人でワインを飲む場面もある。
事前に神父との簡単な面接があるが、結婚式の進行はまったくの、
台本無しのぶっつけ本番だ。

 決められた手順を淡々とこなして、結婚式が進行していく。
式は、30分とかからない。
教会内での式が終わると、祝福の儀式が表でふたりを待っている。
ライスシャワーのあと、幸運を呼ぶ鐘が鳴らされる。
新婦のドレスが汚れないよう、敷物が用意される。
敷物は赤い絨毯ではなく、ごく一般的な、どこにでもある普通のものだ。
それに違和感を感じる人も、何人かいるようだ。

 「予算が10万では、スピード運営とごく普通としか思えない、
 足元の敷物なのかしら?」

 「次のカップルが、駐車場で順番を待っています。
 大安いう縁起の良い日、教会と関係のない日本の風習で予定が満杯です。
 洋風の結婚式なのに、日本の縁起をかつぐなんて、
 まったくもって新婦も何を考えているんだか、ワケがわからないわ」

 「新婦は韓国籍でも、新郎が日本人だもの。仕方がないでしょ。
 この時期はどこのカトリック式の教会でも、大安の日は商売繁盛で
 同じように大忙しになるのよ。
 式はあくまでも、ただの儀式です。
 遠くから駆けつけてくる参列者から見れば、簡単明瞭で、
 短く終わってくれた方が、好感が持てます」

 「あっ・・・貞園。ほら。さっきの子。
 カフェで見かけたさっきの子が、あそこに立っているわよ」