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吉葉ひろし
吉葉ひろし
novelistID. 32011
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春の息吹

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こぶしの枝に小さな白いつぼみがついている
まだ冷たい空気を吸っているようにみえる
その息づかいが小さな風に乗ってくる
青いこぶしの葉の間から3月の日差しが差してくる
青空に向かって花開くころは
きっと春の暖かさを感じられるだろう

君の言葉を待ち続けたのも
こぶしの花の咲くころだった
開いた花弁からこぼれ落ちてくるような
白い言葉だったかもしれない

桜の花に変わる頃
君のほほは時々紅潮した時があった
ライラックの花の香りの様な
君の残した香りは忘れない

づい分と時は過ぎたけれども
あの時のこぶしはつぼみをつけた
あの時と変わらないままの花を
きみもぼくも
あのときのままでいたい
老木に成っても花が同じように
心は同じでいたいと思う
作品名:春の息吹 作家名:吉葉ひろし