幸せタイムリミット
天照:でも、記憶を消したのでしょう?ならば良いのです。
少彦:そう、ですか。良かった…。
天照:本当に?
少彦:え?
天照:本当にそう思っていますか?
少彦:…これが一番なんですよ。あいつが死ぬぐらいなら、この胸の痛みは軽いものです。きっとあいつが死んだほうがこの痛みは大きいでしょうからね。
天照:…辛いときは泣いてもいいんですよ?
少彦:…いや、泣きませんよ。あいつは俺のことを忘れてもこれからも頑張っていくでしょうから、俺も頑張らなきゃ。
天照:少彦名神…、…そうですね。これからも頑張ってくださいね。
少彦:はいっ!
【十年後】『咲間と友達』
咲間:おーい、こっちだこっち。
友達:ちょっと待ってくれやー!本間に…陸上部トップのお前に俺が追いつくわけないやろ…。
咲間:悪い悪い、どうしても早くここに来たくてな。
友達:これがその…、思い出の神社なんか?
咲間:ああ、そうだ。家の次に好きな場所だ。
友達:そんなにか。どんな思い出があるんや?
咲間:さあ?
友達:さあ?って、お前は思い出のない場所が家の次に好きな場所なんか。
咲間:いや、あるんだろうけど何も覚えてないんだ。ただ覚えてないというか、記憶がないんだよな。
友達:なんやそれ、記憶喪失とでも言いたいんか?
咲間:あはははは、ある意味そうかもしれないな。
友達:いや笑いごとちゃうやろ…。
咲間:でも俺がここで誰かと遊んだりしたっていうのはなんとなくわかるんだ。いろいろ話をしたり、遊んだりさ。この鈴もくれて、この鈴があったから友達ができたんだよな。
友達:そうか。で、その誰かっていうのは?
咲間:思い出せない、でも大親友なんだよ。きっと。
友達:んー?俺より大親友ってか?
咲間:そうかもなー。
友達:なんだとコノヤローっ!
咲間:うわっ、ちょっとやめろって!
『二人で笑いながらじゃれ合う』
友達:はあ…はあ…、まったく俺よか親友なんて顔見てみたいわ。
咲間:本当にな、俺も見てみたいな。
友達:とりあえず、お前の大学の合格を頼もか。確か薬学部やったな?
咲間:ああ。
友達:ならこの神社はぴったりやな。
咲間:なんでだ?
友達:お前この神社好きなくせになんも知らんのか…。この神社はな「少彦名神」言うて薬とか農業とか教えた神さん祀ってるんやで。たしかもっと偉い神さんの子供みたいなんやったかな…、子供の姿してるらしい。
咲間:そうだったのか…、えーっとすくなー…、すくなー…。
友達:ひこなのかみ
咲間:そうそう、少彦名神様、俺を大学の薬学部に受からせてください!
友達:受からさしたってください!
咲間:なんで上からなんだよ!
友達:だって俺薬学部目指してへんし?お前のをついでに願ったったんや。
咲間:なんだよー、そんなの言うんだったら俺はお前の願ってやらないからなー!
友達:お前最低か!
咲間:悔しかったらここまでおいでー!
友達:自分子供か!待て薄情者ー!
『走るたびに鈴の音が鳴り響く』
咲間:あーもー!うるっせえな!人の神社でギャーギャー騒いでんじゃねえよ!なんか鈴の音もうるさい…、この鈴…もしかして。…そうか、できたんだな。よかった…。にしても人の神社で騒ぐんじゃねえってのったく…ふっ、あの頃から変わってないんだな。鈴もちゃんとつけて約束通り来るなんて…。あいつには言ってなかったんだが(鈴を取り出し)俺とお揃いなんだよな…。(恥ずかしそうに笑い鈴を鳴らす)
友達:おい、今鈴の音せんかった?
咲間:鈴なら俺がつけてるけど。
友達:いや、なんかそれと同じ音でもう一個なった気が…。
咲間:なんだよ昼間にホラー話しても怖くないぞ?
友達:そんなんわかっとるわ!
咲間:…まさかこの神社の神様が鳴らしてるとか?
友達:ほう、それは嬉しいことやな。
咲間:なーんてな(笑う)
友達:なんやそれ(笑う)
咲間:あははははは。さて、お参りも終わったし時間も時間だから帰るか。
友達:せやな、ほな駅まで行こか。(はける)
咲間:おう!…(社に振り返り)また来ます。
友達:おーい、おいてくぞー。
咲間:今行くよ!(吐ける)
少彦:あいつ…。(驚いた後吹き出し大笑い)待ってるぞ!俺の親友。
『二つの鈴の音が鳴り響く』 〜完〜
☆ 補足&注意 ★
今回は私の作品を読んでいただきありがとうございます。ここは補足と注意書きですので、できれば見てください。
まず、この話の登場人物(神様)である「少彦名神」「天照大神」「高皇産霊神」は実際に伝えられている神様です。(高皇産霊神は名前しか出てきてませんけど(笑)天照大神様と少彦名神様は登場人物一覧の通りで、高皇産霊神はオープニング中にある通りです。あと、神社は実際にあり、場所は脚本中に書いてある通りの大阪です。なので友達が関西弁で話していますが、関東弁でも良いと思っているので関西弁が難しいという方は関東弁に変えてください。
そして注意書きで、「神様が力を人間に与えてるからご利益がある」や「神様が生きるのには万物の精力が必要」等のところは、全て私が考えたフィクションです。ですので真に受けず、一つの物語の設定として受け取ってください。
まだ脚本を書き始めて間もないので誤字脱字等あると思いますが、他の脚本も読んでくださると嬉しいです。ありがとうございました。
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