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トモアキが、黒い車から降りてきて
じっと私を見ている。
その顔は、なんともいえない感情を表していた。

私は初めての感情をもってトモアキを見ている。
殺意。
憎しみ。
そして解放。

--

彼が飽きるまで…
命がけ…

と考えていた
糞みたいな恋愛の、終着点。

--

地元の道路での人目が気になり
かといって部屋に戻る気力もなく
二人でトモアキの車に乗った。

私はトモアキに、今までない罵声を浴びせた。

赤ちゃんの悪夢をみる私は、「ごめんなさい」と繰り返し寝言を言っていた。
それを隣で聞いていたはずのトモアキが
どうしてそんな私を裏切ることができたのか
その理由を知りたかった。

トモアキは、今までわたしに対して
何事も まともに謝ったことはない。

言い訳の中に「お前のせいだ」
という意味を含ませる言い方で、全てを語った。

トモアキも、私からの解放を望んだようだった。


私が妊娠する2ヶ月前
トモアキは、モモコという女の子と出会っていたこと

居酒屋で客として来たモモコに、トモアキから声をかけたこと

二人で遊びに行くうち、だんだんと惹かれていき本気になっていったこと

妊娠を知った時は、私と結婚する気はあまりなかったため私に判断を委ねたということ

仕事での4連休のうち、前半をモモコと
後半を私と過ごしたかった、ということ

モモコは、私とは正反対
気が強くて見た目が派手なキレイ系だということ

モモコは私の堕胎のことを知っていること

そしてモモコは私のことをトモアキと話すとき
「彼女」と呼ぶことは負けた気がするらしく
「女」と呼んでいて
トモアキもそれに従っていた、ということ

トモアキの中でモモコといっしょになりたいという気持ちが固まっていること



作品名:返信不要。 作家名:もめん