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ラッキーストーン請負業者 ~ ケース① 派遣社員・涼子 ~

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「そして、これはまったく想定外だったが、新藤八重子との友情まで復活した。これは間違いなく幸運レベル2 …… つまり、幸運レベル2が2件発生したことにより、この案件は完了だよ。おめでとう。初仕事、お疲れ様」
そう言いながらも、アイダの表情がそれほど晴れやかではないようにスズキには見えた。
「なんにせよ、パーフェクト・ラッキー・ストーンは廃棄されたからな。我々ができることは、もう何もないがね」

「廃棄、ではなくお供えものになった、ですよね」
スズキはやっと口を開いた。
「まぁ、そうだな。…… どうしたんだ? 初仕事を無事やり切ったんだ。もう少し喜んだらどうだ。万事ハッピーエンドじゃないか」
「佐野涼子は、好きだった男と死に別れたんですよ。どこが万事ハッピーエンドなんですか?」
スズキの表情からは不満が噴き出していた。アイダは、それに気付かない振りをする。

「スズキ、人間はな、不幸な出来事は上手に忘れることができる生き物なんだよ。我々が追及すべきは、あくまでも“幸せ”のほうだけだ」
今はこんなこと言っても伝わらないだろうな、とアイダは自覚していた。
「もし、気が済まないというのなら、明日にでも佐野涼子の様子を伺ってこい。彼女が今、幸せそうか不幸せそうか」
「だって、秋元を殺したのは」
「事故だ」
アイダは、スズキの言葉を鋭く遮った。その威厳のある態度に、スズキは気圧される。
「滅多なことを口にするもんじゃない。あれは事故だろう」

そのとき、内線電話が鳴り響いた。

電話の主はひとりしかいないのだ、アイダはため息をつく。

「スズキ、終わった早々申し訳ないが、次の仕事が来たようだ」