「父親譲り」 第七話
「最初は駆け落ちに失敗して落ちぶれた自分は、こんな人生を選んでもいいんじゃないかと言い聞かせていたからそれなりに良かった。彼も元気だったから歓ばせてもくれたしね」
「はい」
「この頃彼は若い愛人が出来て私を誘う事はしなくなったの。愛人関係を解消するとは言わないのよ。男として死ぬまで責任を取るというの。当面定年になる65歳までは雇用すると言ってくれている」
「男気がある方ですね。こんなことを言うと怒られますが、ある面お幸せだったと思います」
「本当に?愛人よ、そして一人だけじゃなくてよ」
「女は若さが一番でしょうけど、沙代子さんは彼さんから束縛をある意味されなくなったわけですから、自由にされてもいいと思います。私から見てもお若いし、それに美人ですから今からでも素敵な恋愛は出来ると思います」
「まあ、嬉しい。でも他に男性と付き合ったらお手当は無くなってしまうわ。それは困るのよ。かといってこの年で男性とのあっちが無くなるというのも寂しく感じる。離婚して一年よね?あっちの方は寂しくないの?彼は居ないんでしょ?」
「結婚していた時には感じなかった寂しさが今は正直言ってあります。十九歳で知り合った彼と同棲して結婚して離婚しました。私はその彼しか男性は知りません。優しかった彼が激変して、暴力に耐えられなくなり逃げ出してしまいましたから、かれこれ数えると三年ほどは何もないです」
「三年か・・・私も同じぐらいだわ」
「うちは父と母も仲が良くて。男と女はそんな年齢まで楽しむんだと気付かされました」
「そう、羨ましいご両親ね。私たちも負けてはおれないわね」
「そうですよね。何だか勇気が湧いてきました」
「うん、お互いに頑張りましょう。私も愛人契約を反故にされてもいいように、お金持ちの相手探すわ」
「それいいですね。私はお金より愛かなあ~甘いですか?」
「そうね、甘いって思うけど、それも人生よ。二人が違って当たり前なの。幸せなんて自分がどう感じるかですもの。愛人の時だって最初は幸せだった。不倫だって好き同士の時は幸せって感じられる。結婚してても不幸に感じる人だっている。同じ状況が長く続くと考えるのが間違いの元なの」
「同じ状況が長く続くと考えるのが間違い・・・それは身に染みて感じています」
沙代子の言葉は美津子の胸に刺さっていた。
「はい」
「この頃彼は若い愛人が出来て私を誘う事はしなくなったの。愛人関係を解消するとは言わないのよ。男として死ぬまで責任を取るというの。当面定年になる65歳までは雇用すると言ってくれている」
「男気がある方ですね。こんなことを言うと怒られますが、ある面お幸せだったと思います」
「本当に?愛人よ、そして一人だけじゃなくてよ」
「女は若さが一番でしょうけど、沙代子さんは彼さんから束縛をある意味されなくなったわけですから、自由にされてもいいと思います。私から見てもお若いし、それに美人ですから今からでも素敵な恋愛は出来ると思います」
「まあ、嬉しい。でも他に男性と付き合ったらお手当は無くなってしまうわ。それは困るのよ。かといってこの年で男性とのあっちが無くなるというのも寂しく感じる。離婚して一年よね?あっちの方は寂しくないの?彼は居ないんでしょ?」
「結婚していた時には感じなかった寂しさが今は正直言ってあります。十九歳で知り合った彼と同棲して結婚して離婚しました。私はその彼しか男性は知りません。優しかった彼が激変して、暴力に耐えられなくなり逃げ出してしまいましたから、かれこれ数えると三年ほどは何もないです」
「三年か・・・私も同じぐらいだわ」
「うちは父と母も仲が良くて。男と女はそんな年齢まで楽しむんだと気付かされました」
「そう、羨ましいご両親ね。私たちも負けてはおれないわね」
「そうですよね。何だか勇気が湧いてきました」
「うん、お互いに頑張りましょう。私も愛人契約を反故にされてもいいように、お金持ちの相手探すわ」
「それいいですね。私はお金より愛かなあ~甘いですか?」
「そうね、甘いって思うけど、それも人生よ。二人が違って当たり前なの。幸せなんて自分がどう感じるかですもの。愛人の時だって最初は幸せだった。不倫だって好き同士の時は幸せって感じられる。結婚してても不幸に感じる人だっている。同じ状況が長く続くと考えるのが間違いの元なの」
「同じ状況が長く続くと考えるのが間違い・・・それは身に染みて感じています」
沙代子の言葉は美津子の胸に刺さっていた。
作品名:「父親譲り」 第七話 作家名:てっしゅう