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血の代用に空を舞う花弁をうっとりと眺め、彼女は少女の手に自分の掌を重ねた。
痛みに悶える人の無力さも、死に絶える間際の悲鳴すら心地良い。
美しく冷酷な彼女の能力はいつ見ても芸術魅力に溢れている。

まるで感動的な舞台を見終えたかの様に感嘆を漏らすと、再びテーブルに着く蒼薔薇に向き直った。
「さあ、頂きましょうか。私、ラモナに居たという魔法使いのお話が聞きたいわ」
「…。」
人であったその物は、純白の薔薇の中に一株だけ植えられた赤薔薇と成る。

変わり果てた仲間の姿から目を背けながら。
頷く蒼薔薇の手は凍えたまま、震えが止まらなかった。






ＥＮＤ。
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