「SNSの恋 プロローグ」
「なになに?お友達を作って楽しくお話ししましょうだって、いいじゃないか」
大手の企業が母体になっているから安全なサイトであることは間違いない。
さっそくハンドルネームを考えて登録することにした。
さて使い方が良く分からない。ミクシィの経験もないし、あるとしたらヤフーでブログを利用していた程度。
入会したのは「気楽倶楽部(きらくらぶ)」と言う名前、そして考えたハンドルネームは「てっしゅう」これは若い時に姓名判断の人につけてもらった晩年に幸せになれる名前だそうで、漢字では「鉄舟」となる。
勝海舟の弟子?山岡鉄舟と同じ名前だ。
「恋愛」と言う項目で検索して探し当てたある男性の日記にすごい事が書かれてあった。
それは自分の不倫体験を綴っていたからだ。本来内緒のことなのにここでは匿名という事で大っぴらに書かれていた。
その日記へのコメント欄に何人かの女性と思われる名前の人たちが前向きな文章を書いていた。
「ふ~ん、ここではこういうことが当たり前に飛び交っているんだ」
そう感じた私はその男性へコメントを入れた。自分には不倫経験はないけど興味があると書いた。
返事が来た。そこには「恋話ルーム」と言うコミュがあるので、そちらに登録して話し合いませんか?との内容だった。
「コミュってなんだ?」
調べてそれは許された会員同士の話し合いの場であることが解った。登録して自分が覗いたコミュのトピックスに提起されていた内容は、彼や彼女との不倫問題に集中していた。こんなにたくさんの男女がここでは不倫を経験しているか、経験したいと思っているのかと知らされた。
自分には書けるような体験が無い。仕方ないので妻への不満を日記にして書いてコメントを待った。
誰も見てないのかアクセスが無い。
検索の項目に「恋愛」「不倫」「セックス」と言う言葉を入れたら見てくれるだろうという事に気付き、追加した。
「来たぞ、日記を読んでくれた人が居た」
そう嬉しく感じてさっそく開いて内容を見た。
「初めまして。私はてっしゅうさんとは反対で夫に拒否されて悩んでいます。このまま女を終わってしまう事は悲しいです。かといって誰でもいいとは考えないですけどね。お互いにコミュで語り合いましょう」
例のコミュに参加している女性からのコメントだった。
そして返事を何回かして、コミュでもその人の立てたトピにコメントして、やがてお気に入りと言う機能で二人だけのミニメールを利用できるようになっていた。
作品名:「SNSの恋 プロローグ」 作家名:てっしゅう