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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「父親譲り」 第五話

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「お近くにお住まいなら当方も安心です。面接させて戴けませんか?」

「はい、ありがとうございます。いつ伺えばよろしいでしょうか?」

「明日でもいかがですか?」

「解りました。では伺わせていただきます」

あっけなく面接が決まった。母親に頼んで持ってなかったスーツを買ってもらい、指定された時間に営業所に出向いた。
そこはフランチャイズ契約で住宅販売をしている会社で従業員20名ほどの小さなところだった。

住宅展示場になっているところのダイニングに置かれたテーブルで面接は行われた。

「私共はごらんのとおり住宅を販売・リフォームする会社です。履歴書を見させていただくと、このような仕事は初めてだと思いますがいかがですか?」

「はい、経験はありません。電話での応対はしておりましたので簡単な受け答えは出来ると思います」

「そうでしたか。立派な大学を卒業されているので私共へはもったいない気がしますが、そう言う部分も了承して戴けるのですね?」

「もちろんです。戴けた仕事を全力で頑張りたいと思っています」

「当社はここと隣りの市に同じような展示場があります。勤務はご希望が無ければこちらでの採用とさせて戴きますが、宜しいでしょうか?」

「よろしくお願いします」

即決で採用となった。
勤務時間と仕事内容を説明されて、メモを取りながら美津子は明日からの出勤に備えて必要な物を帰りに買うことにした。
三か月間は見習いという事で仕事を覚えさせられるだろう。ミスをしないように心がけようと思っていた。
寝る前に父親に明日から仕事に出かけることを告げた。

「お父さん、明日から駅向こうの住宅展示場で採用されたから勤めに行くよ。三か月見習い終了したら正社員になる約束。心配かけてごめんなさい」

「そうか。車で通勤するんだろう。安全運転を心がけるようにな」

「ありがとう。お母さんに借りたお金、給料がもらえたら返さないと」

「言う事は一人前だな。けじめはちゃんとしておきなさい」

「うん、絶対に」

機嫌が良かった父の顔を久しぶりに見た気がする。