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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「父親譲り」 第五話

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「ご両親に本当のことを話してくれているの?」

「本当のことって、お前が勝手に車買って出て行ったという事だよ」

「違うでしょ!こちらの弁護士さんから聞いているはずよ」

「おれが何をしたというんだ?確かに仕事は辞めて続けられなくなったよ。それは弱さかもしれないがそういう時にこそ助け合うのが夫婦ってもんだろう。お前はそれを放棄したんだ。そのことは真実だろう?」

「暴力が怖くなったのよ。傷つけられてからでは遅いと感じた。それは反省してないの?そうよね、自分に不利になるようなことは言わないのが原則よね」

調停員は双方の弁護士から出されている書類に目を通しながら、事実確認をした。暴力が行われたという証拠は診断書などが無ければ第三者には判断できない。その点は美津子の弁護士も不利だと考えていた。
和解の条件が示されて美津子は自分名義の車だけ手元に残る形で自宅にある家財はそのまま住む伸治の所有となった。

美津子は思い出が残るアパートから、化粧品の類と自分の衣装だけ宅配便で送って東京を後にした。
実家に戻って来て父親は今後のことは必ず相談して決めることを条件に一緒に暮らすことを許すと話した。
この年になって信用されていない自分が情けなかった。そして家を出て行く根性も甲斐性も無かったことをも。

誕生日が来て31歳になった。ハローワークでの斡旋が決まらないまま一つ歳をとってしまった。学歴なんてこの歳になったら通用しない。そのことも身に染みていた。
中学の時のクラス会があって、しばらくぶりに参加した。東京に居る時は連絡があっても帰省出来ずにいたからだ。
クラスメートは半分ぐらい結婚していた。女子は三分の一ぐらいが独身でいた。
気が合う男友達だった子は結婚して子供が居た。

自分が離婚したと話すと、今時バツイチの方がカッコいいなどと冷やかされた。
婚活をするならこういうところが良いとか、集団見合いに参加してはどうかなど、みんなもそれなりに悩んで苦労している感じに受け取れた。
自分はまずは仕事を見つけて収入を得ないと動くに動けない。そんな話をしていたら同級生の住んでいる近くで女子社員を募集している会社があると聞いたので、さっそく連絡先を聞いて電話をかけてみた。