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僕の好きな彼女

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『今』がその時じゃないのか?
僕は彼女のことを好きになりかけていると思った。
出会ってたった二日で、しかもおまけに、笑ってしまうが彼女は『死人』だ。
風の前の塵のようにどこかへ消えてしまうばかりの存在で、僕の勝手な思い込みなんて何の意味もないし役にも立たない。
出会った時点で既に死んでいた彼女を僕は絶対に救えないし、親しくないのでその気持ちは分からない。

生前、すでに想い人がいたとしても。
現在、消える前の陽炎のような魂だとしても。

僕が何かを、誰かを好きになると言うことには、実は全くそんなことは関係がないのだ。
ああ、
何だかいろんなことが分かるような気がしている。
これが自分にとって『世界が広がる瞬間』のようなモノなのだろうか。
それは単純な事実だ。
『僕の好きな彼女』は既に死人で、僕の中にある勝手な願いや祈りは、けっして叶うことが無い。

だけど、
作品名:僕の好きな彼女 作家名:匿川 名