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僕の好きな彼女

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「時々姿を見つけてくれる人はいても、私の『声』は誰にも聞こえないみたいだった。
 だってたまに私に気がついてくれたヒトに話しかけても、不思議そうに首を傾げられるだけだったから。
 これって、なんて言うんだろう、ラジオのチューニングのような感じみたい。
 波長の合うヒトには私の姿が見えるみたいだけど、そうじゃないヒトには空気でしかないような。
 姿ですらそうなのに、声になるとますますで、私は誰にもコトバを届けることが出来なくなったんだと思ってた。
 だから、私の声が聞こえたのはあなたが最初で、今のところあなただけ。
 それが、私があなたを頼る理由なの。
 見ず知らずの幽霊にこんなこと言われて、気持ち悪いでしょうと思う。
 でも、それでも私には、声が届いたのがあなたしか、いなかったから」
作品名:僕の好きな彼女 作家名:匿川 名