千葉ジャガーの逆襲!!
02 嫉妬の塊
エースという言葉の響きに誰もが憧れ夢を見る。
特に高校野球で輝いていた者なら尚更だ。
この千葉ジャガーというチームにも、もちろんエースと呼ばれる投手が存在する。
選手としての個人の能力はまさにチートレベルに達するほど高いが、信じられない程に人気が無かった。
千葉ジャガーのエースこと、森雲(21)は高卒ドラ3入団の三年目投手。ルーキーイヤーの年にジャガーの一軍投手陣が壊滅的になった為に5月半ばで一軍登板することになる。左腕とはいえ、元々コントロールが高く速球に威力があったため直ぐに通用した。最初の一軍登板は派手に燃えたが。だが段々慣れていくと自身に余裕が出て周りを見れるようになっていった。
そんな8月半ば辺りで、同期のドラ1橘が二軍から上がって来た。橘の初先発は派手だった。とにかくスター選手が欲しかったというのもあるかもしれない。何せ橘はイケメンだったから。しかし上げるのが早すぎた。橘は派手に炎上を繰り返し4試合先発として投げ
9イニング・26失点・自責24
という悲惨さだけが残る結果に終わったからだ。
かつて甲子園を沸かしたヒーローもプロに入ればこんなもの…なんという無慈悲な世界。
だが人気だけはあった。
凄まじかった。
一人だけテレビ出演の量やグラビア雑誌などに出まくり、何かのイベントには確実に呼ばれ実力はともかく一軍には欠かせない選手(人気取りな意味で)となったのである。
何とか橘を使えるようにしようとした結果、1イニング限定ならばという甘い判断で抑えに置いた。しかしこの瞬間からサヨナラ負けの試合が多くなり、橘は結局二軍に落とされたのだが橘のファンが押しかけ一時一軍は凄まじいムードとなったものである。
作品名:千葉ジャガーの逆襲!! 作家名:本宮麗果