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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「父親譲り」 第三話

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伸治は次第に私への思いが懐疑的に変わっていった。ちょっとした言葉にその裏側を読むようになるのだ。心にも感じてないことを勝手に想像してかみついてくる。
仕事先の同年男性に夫のことを話すと、それはもううまく行かないから考えた方が良いよ、と言われた。
同じ男として気持ちを察することが出来ての助言なんだろうと思える。

年の瀬に忘年会があって遅くに同僚男性にタクシーで送ってもらって自宅に着いたとき、運悪く夫に車から降りるところを見られた。軽く握手をして、良いお年をと交わしたことを深く追及された。
「おまえはおれのことが嫌になっているから、あいつと浮気をしているのだろう!」

そう言い放つとビンタが来た。
その突然のことに驚きと悲しさとそして恐怖心が芽生えていた。
今まで夫のわがままや無視を堪えてきたけど、恐怖心がその思いを取り払うように心の中から出て行ってしまった。

「この人から離れよう」
そう感じ出したのだ。急に母の顔が浮かんだ。しばらく話してないので今の気持ちを素直に伝えたいと電話をかけた。

「美津子よ、ごめんね電話して」

「どうしたの。何かあったの?」

「うん、伸治さんのこと」

「病気でもしたの?」

「違うの。この頃また暴力が酷くなって・・・」

そのあとは話せなかった。泣き声を聞いていた母は一言だけ言った。

「帰ってきたら?」

「お父さんが許してはくれない」

「ううん、そんなことはいいのよ」

初めて母は父のことより私のことを優先したようにその言葉を言ってくれた。
気持ちは実家に向かっていた。
貯金で車を買いたいと夫に話した。理由は家に閉じ籠っているから喧嘩になるんだと、ドライブでもして楽しめば気分も変わると訴えた。貯めているお金のほとんどは自分で稼いだ給料の一部とボーナスなので遠慮することはないのだが、離婚するとなるとお金の分与は余儀なくされる。

車を自分名義で買えばそれは確実に手元に残ると思ったし、どんな時間でも家から実家へ逃げられるとも考えていた。
夫は好きにしろとだけ言った。車が来ればあとは気持ちにけりをつけるだけだ。
赤のプリウスは私の将来を変えてくれそうな期待が込められていた。