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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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『人と人』とを越えた繋がりの先にあるものは…。 その二(完)

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『出費がかさむからもうしないでと伝えてください。』
とメールが来たけど、そのメールを読んでる時からゆきのは、
『無理。』
という顔をしていた。
それもちゃんとひろみさんに伝えたけど、ゆきのはちゃんと出来るかなぁ~。

ゆきのを通して、こんな風なひろみさんとのやり取りももう半年ほどになる。
そんなやり取りを始めた去年の八月の頃だった。
私の兄の高校生の娘、ふうちゃんの事だった。
ふうちゃんは中学二年生くらいから足が悪くなり、波はあるけど、松葉杖を使って歩いたり車椅子のお世話になったりとしていた。
運動もほとんど出来なくなったらしく、走ると足が痛くて無理という事だった。
そしてその話を丁度、お母さんと話してたり兄の奥さんとの電話で話してたりしていた。
それで私が出来ることは何かないかと探していた。
そして私は閃いた。
私は神様と話してるんだからその神様に頼めば良いんだと…。
その事を思い始めてすぐに上が出て来た。
けどその表情は曇っていた。
…ダメかぁ~と思い、また振り出しに戻って考える私。
そんな中、誰かが見ているような気配を感じた。
ふとそっちの意識へと目を向けた。
それは、ゆきのだった。
“あっ!!”と私の心は捕らえられた感じがして、咄嗟に、
『ゆきの、ふうちゃんを助けて!!』
と気付いた時にはそう言っていた。
でも私が言い終わる前にゆきのは、ふうちゃんの肩にもたれ掛かるように寄り添っていた。
私はその状況をすぐには理解出来ず、
『えっ?!』
と固まった。
ゆきのはそのままの姿でずっといる。
我に返った私は、
“勝手にゆきのを使ってしまった~っ!!ひろみさんに許可取らなくちゃ~。”
と慌てて事の成り行きをメールで伝えた。
“勝手にゆきのを使ってしまいました。すみません。”
と。
ひろみさんから返事が来た。
“どんどん使ってください。ゆきのも喜びます。”
というような内容だった。
私はホッとした。
“ありがとうございます。では、お借りします。”
とお礼のメールをして、改めてゆきのに、
『ふうちゃんの事どうにかして~。足が痛くて大変って言うから…。助けてあげて。』
と伝えた。
ゆきのはそのままの姿でじっとこっちを見つめていた。

九月に実家に帰った時に、その一部始終をふうちゃんに話すつもりだったけど、言うか言わまいかの葛藤する私がいた。
言ったところで気を持たせて何もならなかったら落ち込むだろうし、見たこともない馬の話なんかしてお化けみたいに思われて怖がられてもいかんと思ったから、結局言うのを止めた。
もちろん兄の奥さんにも…。
知っていたのは、お母さんとひろみさんとゆきのだけだった。
そして十月、兄の奥さんと電話で話していた。
奥さんが、
『何故か病気が再発しなくて、鼻血も出なくなって、学校の友だちとうまく行ってなかったのにめちゃくちゃうまく行っています。なんか、普通の高校生…という感じです。』
と聞かされた。
それを聞いて私は嬉しくなり、八月の出来事を話した。
それを聞いた奥さんは、何とも言いようがなく驚いていたけど喜んでいた。
それを私はすぐにひろみさんへとメールで伝えた。
『姪っ子の病気が良い方向に向かっているとの事です。また再発してしまうかもしれませんが、今のところいい感じで安心しました。どんな理由でこんな事になったのかは分かりませんが、今度ゆきのに会ったら直接お礼を言います。』
と。
ひろみさんから、
『素敵!!ゆきのが、少しでもお手伝い出来たのならすごく嬉しいです。もちろんゆきのに限りませんが、動物にはそんな力があるようですね~。』
と返事が来た。
私は、
『ありがとうございます。』
と返事をしたら、ひろみさんから、
『こちらこそありがとうございます。』
と返事が返って来た。
こちらが感謝をする事なのに、感謝が返って来た。
どうしてだろうか、その言葉が嬉しかった。
あの時ブログを削除していたら、こんな風に喜ぶこともふうちゃんの足の事もなかったのかもしれない。
繋がったその先に起こるこんな事を誰が知る事が出来ただろうか…。
とそんな事を考えた。

それから四ヶ月ほどが経つけど、ふうちゃんは毎日を楽しく過ごす高校生のままとの事だった。
何はともあれ、よかったよかった・・・・・・・・・、あっ、ゆきのにまだお礼言いに行ってないや・・・。
ゆきの~、すまぬっ!!
暖かくなったらねぇ~。

直接会ってはいないけど、これもゆきのとふうちゃんは繋がったということになるのかなぁ~なんて思った。

私のこんな状況を信じるわけないと思っていたから、失礼ながらもさやかさん経由でひろみさんと連絡を取っていた私…。
まさかこんなに仲良くなるとは…。
人生思い通りにはならないとは分かってはいるけど、まさか一番連絡を取り合うことになるとは…。
人の“縁”とか“繋がり”は自分で考えて作れるものでもないし、計算して出来るものでもないんだと改めて知らされた。
この場を借りて、ひろみさんすみません。
ゆきの、あいちゃんとはこんなもん。

そして今、何始まりか分からない今、こんなにも繋がって行ったのだ。
人を越えて猫や馬や犬と繋がって行った。
こんなにも繋がった先に、ふうちゃんの足は楽になっている。
出会いって何なんだろう…。
出会った先にも何かがある。
でもその答えは分からないし、無いのかもしれない。
でもどうしてだろうか、出会えた事・繋がった事にホッとした感謝を感じる。
そして解決する事だってある。
その気持ちは人それぞれ感じ方は違うだろうけど、私はそう感じた。
ただそれだけ…。
“ただそれだけ”の中にたくさん詰まっていると知った。
それが今も進行形で続いている。