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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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『人と人』とを越えた繋がりの先にあるものは…。 その二(完)

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…続き。

それからまたしばらくして、夜中、旦那さんとおドライブ中の中、みわさんからメールが届いた。
“お馬さんに会いに行きませんか?知り合いのひろみさんが馬を飼ったので、そのお馬さんに会いに行かないかなぁと思いました。”
というような内容だった。
私はまた、
“はっ?!ひろみさんって誰だっ?!やっぱりこの人たちは何者だっ?!金持ちか?!…分からない…。人生でそんなセリフを言うかなぁ~?!…ないないない。”
と頭の中で回る。
旦那さんに話したら、
『凄いね~。いろんな人と知り合いなんだね~。』
とニコニコしてそう言った。
その最初のメールのすぐ後に、いつもの見える場所に馬が見えて来た。
そして私は頭の中で馬を触った。
…硬い…というのがやっぱり馬の感想だった。
何度か馬を触ったことがあるけど、びくともしないというのが感想。
今思い返せば、なんだか寂しそうな表情だった。
それからみわさんとメールのやり取りをしていたら、馬の写真が届いた。
なので、
“もう触りましたよ~。”
と返事をしたら、
“はやっ!!相変わらず早いですね~。”
とみわさんから返事が来た。
私としては日常の中の話。
神様は場所を問わないとはこういう事なんだろうなぁ~と、こんな時に改めて思わされる。

どういう経緯があってか忘れたけど、みわさんから紹介されたひろみさんとの連絡は、さやかさん経由で始まった。
毎回、メールをさやかさんに送ってひろみさんへと届けてもらって、さやかさん経由でひろみさんから返事が来る…というやり取り。
そんな中、ひろみさんから、
“馬の名前を今考えています。候補として、《ゆき》か《ゆきの》で迷ってます。その子はどちらが良いと言っていますか?”
というメールだった。
これには私も困った~。
そういう事はしない方がいいんじゃないのかと頭を過ったからだ…。
一応その馬に聞いてみる事にした。
しかし聞く前から馬の顔がアップになって、
『《ゆきの》がいい~。《ゆき》だと“きぃー”がイヤ…。《ゆきの》がいい。』
と切実に言って来た。
それでも私はこんな事言っちゃいかんと思い馬に、
『それは言えないよ~。でもひろみさんは必ず良い名前を付けてくれるから大丈夫。』
とは伝えたけど、納得はしてくれていない顔だった。
そして私はゆきのとの会話を伝えずに、
『それは出来ないです。ひろみさんがこの名前!!と思った名前でいいと思います。』
とメールを返した。
関係のない私が入るのは違うと思ったから、私はそうメールした。
それから数日ほど経って、ひろみさんからメールが来た。
『馬の名前決まりました!!《ゆきの》という名前になりました。これからはこの名前でよろしくお願いします。』
というような内容だった。
私は鳥肌が立つほど驚いた。
こういう事ってあるんだなぁ~不思議だ~…と。
でもそんな私の鳥肌とは打って変わって、ゆきのの顔のアップが現れた。
どうもその顔は私を睨んでいるようにも見えた。
馬の鼻息が届きそうな程怒っているようにも見えた。
『まあまあ、結果オーライと言う事で…。』
と言ってみたものの聞いちゃくれなかった。

そして途中からさやかさんが申し訳なく感じ始め、その後は直接ひろみさんとやり取りが始まった。
そしてみわさんとの約束だったはずが、さやかさんと馬に会いに行く事になった。
私は旦那さんと車で向かい、さやかさんはひろみさんの車で向かった。
一旦、高速道路の足柄サービスエリアで会えたら会おうとなった。
そして、同じ時間帯にサービスエリアにいると分かったので、お迎えがてらさやかさんに家の車を探してもらった。
遠くからさやかさんが歩いてくる。
八月の暑い中、ありがたい…と思う私…。
旦那さんは暑いからと車で待機となり、さやかさんに連れられ、ひろみさんのいるドッグランへと向かった。
そこで、さやかさんからひろみさんを紹介された。
また繋がった。
ひろみさんはスタンダードプードルのコス(本名;コスモス)を連れて来ていた。
そしてここで、ひろみさんからコスを紹介された。
コスは興奮してたので、挨拶という感じはちゃんと出来なかった。
まっ、犬とはそういうもの。
このくらいが丁度いい時もある。
そしてコスと繋がり、そこから馬のいる富士宮へと各々向かった。

どんどん山の中へと入って行く。
何処まで行くのだろうかと、もちろん初めての道。
ほとんど車は通ってなく、結構先まで見通せるような道。
ボーッと道の先を見ていたら、茶色の大きなバケツ?!ドラム缶?!が見えた。
その辺の敷地の人がゴミを入れる為にでも置いているのだろうか…道路寄りで邪魔だなぁなんて思いながら、大きな茶色に近付く。
十メートルくらいの距離になった時、
“…シカの死体…。…大きめ…。痛かっただろうなぁ~…どっちも。”
とシカが死んでいた。
私は即、さやかさんにメール。
“シカが死んでた。気付いた?!”
と打った。
すぐに返事が来た。
“見た。言わないで~。”
というようなメールだった。
とそんな会話をしつつ馬のいる場所に着いた。
そこは牧場ではなく、ホースセラピーをしている所だった。
富士山の近くだし、周りは木々に囲まれてておとぎ話に出て来そうないい所だった。
車を止めて、敷地の中を覗いたら、一頭の馬がこっちを見ていた。
目が合ったまま私は心で、
“…ゆきの?!”
と聞いてみた。
しっかりとした強い目をそのまま向けていた。
それが、ひろみさんの馬、ゆきのと初めて会った瞬間だった。
ここでゆきのとも繋がった。
それからみんなで、ゆきののいる所まで行って、ひろみさんの友達兼調教師の方とゆきのを紹介してもらった。
そこで飼われている他の馬も紹介してもらったりした。
全部で五頭の馬がいる。
それぞれ個性があって面白い。
ひろみさんがゆきのにエサをあげている時に、私は他の馬を見に行った。
ここの馬たちはかなり自由に生きているとの事。
黒毛に茶色の毛が混じっている茶混じりモジャが近付いて来た。
そして、柵から顔を出し地面に生えてる草を食べた。
・・・ほうほう、この草を食べたいのか…と思った私は、一回抜いて草を馬にあげた。
馬はモグモグ食べた。
私はうんうんと肯いて馬を見つめていた。
草を食べ終わった馬はまた新たに草を探すのではなく、私を凝視…。
・・・?!と感じた私は、
『あっ、どうぞどうぞ。その辺に草があるからどんどん食べて。』
と手でその場所を指し示した。
でも一切指差す所を見ずに、こちらを見ている。
私はまた、・・・?!と思った。
数秒考えて、閃いた。
『まさか、草を取れと?!草待ち?!』
と聞いたら、変わらず凝視。
なので草を抜いてあげてみることにした。
抜いた草を馬の口元の下へポイッと放ってみた。
・・・食べた。
食べ終わると顔を上げこちらを凝視…。
やっぱりこれは草待ちだ~!!
しゃがんでひたすら草を抜き、茶混じりモジャに与え、草がなくなってはカニ歩きで草を求め与えた。
これが答えだったかぁ~。
自由に育ち過ぎてる茶混じりモジャだった。
・・・要注意!!
しかしこの出来事で茶混じりモジャともお近付きになれた。
なんか繋がってしまったなぁ~。