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てっしゅう
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新連載!「父親譲り」 第一話

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「美津子は愛知へ帰って就職するんだろう?」

「うん、親はそうしろと言ってる」

「見つかりそうか、仕事先は?」

「探しているけど自分好みの所はないみたい」

「こちらの方が働くところはあるんじゃないのか?」

「そうね、多分そう。そこも迷うところなんだけど、親を説得できるかどうか」

「厳しいのかお父さんは?」

「そう、うるさいタイプなの。大学も猛反対してたけど、ここに合格するならと言う条件付きで受けて通ったから来れたようなものなの」

「有名大学だからな。しかし、女子の就職は困難だよな」

「贅沢を言わなければ都内なら探せるの。愛知となると募集している企業は大手しかない。ずっと働きたいと思ってないからそれも苦痛だしね」

「みんな一流企業に入りたいと頑張っているのに贅沢な悩みだよな美津子のは」

「話すとそう言われるね。結婚したらお家に居たいから、そう考えてるの」

「専業主婦って言うやつが希望?」

「そういう事。母もそうだしね。子育てしたいからそれがいいと思っている。旦那さんも帰って来て奥さんが家に居てごはんの準備が出来ている方が嬉しいと思うでしょ?」

「それはそうだな。でも給料が安ければ難しいぞ」

「慎ましくやれば出来るし、どうしてもならパートで家事の犠牲にならない程度に働けばいいし」

「美津子は大学に行くより花嫁修業していた方が良かったんじゃないのか?」

「父はそう言ったの。地元の短大か専門に通ってあとは負担のない会社勤めして寿退社すればいいって」

「おれだってそう考えるよ。東京に来たかった理由は何だったの?」

「理由?とにかく家を出たかった。息苦しかったの。父も母ももう少し私を自由にしてくれていたらこんなふうには考えなかったと思う」

「厳しい躾は反感を買う?っていう事なんだな」

「そうばかりじゃないだろうけど、女だからといってあれこれ言われるのが嫌だったの」

「おれだって娘が居たらそんなふうに思うかも知れない。父親にとって女の子は特別だって結婚した先輩が話してたよ」

「そうね。母に言われたわ。お父さんはあなたのことが大切だからいろいろと言うのよ、って。のぶくんだから言うけど父のいやなところが一つあったのよ」

のぶくんとは彼の名前伸治(のぶはる)のことだ。