「恋愛病院 不倫病棟パート2」 第十四話
「そうよ。やることやったらバイバイ~っていう事の相談が多いんです。自分も体を満足させられれば愛なんて要らないの、って割り切ればそれで構わないのですけどね」
「えっ?そんな気持ちで付き合うなんて女性は出来ないと思いますけど、早奈枝さんはご経験があるのですか?」
「はい、若い頃は風俗嬢とかAV女優をやってましたの。私の場合は夫の承認でしてましたから、今もそうですが普通ではないと思いますけど」
「そうなんですか、驚きです。私には考えられません」
「もちろん初体験の相手からそんな風になろうと思った訳ではないですよ。純粋な恋愛に傷ついて自棄を起こして始めたのがきっかけでしたが、自分なりに男性が喜んでくれることに癒されていた部分もあったんです。解ります?」
「自分が必要と思われているという事ですか?」
「そう、必要とか言う重たい気持ちじゃなくても、私で満足してくれたという嬉しさかな。女はいつも自分が求められている存在でありたいと願いますよね?好きな人のすべてを満足させてあげたいともです」
「はい、それは私も解ります。では、早奈枝さんは私にその方が好きなら求められるようにしろと言われるのですね?」
「私ならタイプだったら求められる前に求めるわ。それで嫌われたりすることもあるけど。でも好きな人が出来たらその方とは特別な気持ちでエッチするの。それは精神的な満足が得られるから」
「精神的な満足以外のエッチもされているというんですか?」
「ええ、それはここでの治療であったり、自分の性欲の処理であったりなの。好きな人が居るからと言って必ずその人が自分を抱いてくれるとは限りませんからね。相手を強く感じていると身体が熱くなってその部分だけは他で満足させないと収まりませんから」
「早奈枝さんは男性的な感覚だと思いました。いけないというのではありませんが、私には無理ですね」
「それでいいと思いますよ。奈美恵さんはその彼になろうとしている人の本心を見つめて、許す時が来れば応じられると良いと思います。もし、しつこく迫って来て誠意が感じられないと思ったら、自分が好きでも会わない方が良いと思いますね」
「はい、そうします。早奈枝さんとお話が出来て良かったです。ありがとうございました」
早奈枝は鉄男の指示通り身勝手な女を少し演出した。奈美恵が帰ったあと、無性に鉄男が恋しくなってしまった。
作品名:「恋愛病院 不倫病棟パート2」 第十四話 作家名:てっしゅう