からっ風と、繭の郷の子守唄 第61話~65話
からっ風と、繭の郷の子守唄(61)
「富士見村で1トンの繭をつくってきた農家の話と、節のある赤城の糸」
「座ぐり糸を手がけているのなら、赤城の糸のことはご存知でしょう。
私が産まれたところは、養蚕がとても盛んでした。
お婆ちゃんたちがいまでも手で糸を紡いでいる、富士見村が私の故郷です」
どうぞと、湯気の上がる茶碗を奥さんがテーブルへ置く。
農家における居住スペースには、共通点が有る。
壁の部分を極力少なくして、障子や襖(ふすま)で各部屋が仕切る。
10畳や8畳、6畳などの小部屋として使いながら、何かあるときは障子や
襖を取りはずす。こうすると続き間の大広間が出現する。
大人数が入れる空間として、冠婚葬祭などに使われる。
大勢集まることを、『人寄せ』と呼ぶ。
こうした巨大な空間を作ることは、ある意味において農家の繁栄の
象徴になる
しかし。
田島邸が持っている『続き間』は、常識の範囲をはるかに超えている。
最盛期には、100人を超える人たちが働いていた。
階下は、巨大な食堂と化す。
また、仮眠のためのスペースとしても使われる。
仕事をなし終えたあとの宴の場して、活用されるときも有る。
「富士見村で1トンの繭をつくってきた農家の話と、節のある赤城の糸」
「座ぐり糸を手がけているのなら、赤城の糸のことはご存知でしょう。
私が産まれたところは、養蚕がとても盛んでした。
お婆ちゃんたちがいまでも手で糸を紡いでいる、富士見村が私の故郷です」
どうぞと、湯気の上がる茶碗を奥さんがテーブルへ置く。
農家における居住スペースには、共通点が有る。
壁の部分を極力少なくして、障子や襖(ふすま)で各部屋が仕切る。
10畳や8畳、6畳などの小部屋として使いながら、何かあるときは障子や
襖を取りはずす。こうすると続き間の大広間が出現する。
大人数が入れる空間として、冠婚葬祭などに使われる。
大勢集まることを、『人寄せ』と呼ぶ。
こうした巨大な空間を作ることは、ある意味において農家の繁栄の
象徴になる
しかし。
田島邸が持っている『続き間』は、常識の範囲をはるかに超えている。
最盛期には、100人を超える人たちが働いていた。
階下は、巨大な食堂と化す。
また、仮眠のためのスペースとしても使われる。
仕事をなし終えたあとの宴の場して、活用されるときも有る。
作品名:からっ風と、繭の郷の子守唄 第61話~65話 作家名:落合順平