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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「化身」 第九話

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白鬚神社の主に事の次第を告げ作治は受け取った札を白装束の昌春の懐に差し入れ、祠の中に正座させ、両腕を後ろにして縄をかけた。万が一のためであった。
やがて燃え盛る炎を前に仰々しい呪文が唱えられ、村人が見守る中燃え尽きた祠に残る札を拾い、恭しく奉りながら、元の木箱に遷し封印した。

昨年の大みそかの出来事が嘘のようにすべてを解決した作治は心晴れ晴れとした気分で、菊と夜をともにした。
村はずれの昌春の住まいに今宵は宿泊した。

「菊、これですべて終わったな。怖かっただろう?」

「作治殿。菊のためにありがとうございました」

「何を申す。夫婦になると約束しただろう。諦めかけていたのでこんな嬉しいことは無い。もちろん承知だろうな?」

「はい、菊に依存はございません」

そう言うと菊は作治に身を寄せた。怪しいまでの色気に半年間の間に女として変化する年ごろなんだと思わされた。
真っ白な肌に少しだけ違う色を見せる部分に作治は見とれていた。

「お恥ずかしゅうございます。菊の中へ来てくださいませ」

「おお、そうだな。何という美しい身体をしておるのだ。おれは果報者だな」

菊の中は入ってきた作治自身をきつく締め付け、虫がうごめくような刺激を与えていた。

「菊!」

そう叫んで思いっきり放出した。

「作治殿~」

余りの気持ちよさに作治は朝まで菊の身体を貪り続けた。

眠気まなこをこすりながら仲良く並んで作治は菊と峠を越えて村へ半年ぶりに戻ってきた。
菊の姿を見て手を合わせて拝む村人たち、作治は村一番の勇者として迎えられていた。

みんなが集まって作治と菊を囲んで話し合いがもたれた。

「良く帰って来たな。それに菊も助けたとは立派じゃ。わしの後はお前が村長になれ」

酒も入っての笑顔で村長はそう言った。

「これも白鬚神社の主様のお蔭です。落ち着いたら礼に伺いたいと思っております」

「おお、そうするがよいぞ。今年は米が豊作のようじゃ。重いが担いで持って行ってくれ」

「それは喜ばれます。収穫を待って出かけるとしましょう。それとここに居る菊のことですが、夫婦の約束をしました。これより作治の妻として扱って下され」

「そうか、目出度いのう。みんなも祝ってやってくれ!」
作品名:「化身」 第九話 作家名:てっしゅう