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楡井英夫
楡井英夫
novelistID. 23737
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更新日時:2016-04-10 10:55:42
投稿日時:2016-02-04 16:49:59

腐ったりんご

登録タグ: りんご  パン屋  仮面  偽善  弱者  死ぬ  深い穴  生きがい  腐る 

作者: 楡井英夫

カテゴリー :純文学小説
総ページ数:9ページ [完結]
公開設定:公開  

読者数:3/day 16/month 1936/total

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著者の作品紹介

腐ったりんごは捨てなさい。マリコは父ケンタロウから、そう教わってきた。だが、交通事故に遭い、左脚に後遺症が残ったことで、その考え方が大きく変わっていく。
事故の後、マリコは婚約を破棄されたことで卑下し部屋に閉じこもるようになる。さらに、陰であざ笑っている者がいるという妄想にもとりつかれる。些細なことで父に文句を言われたマリコはふて腐れて、「私はどうせ腐ったりんごです」と言った。「交通事故で頭がおかしくなったか」と怒り蔑んだ目で見る父に、怒りがこみ上げきたマリコは、家宝の壺を叩き壊した。
父に出て行けと言われたマリコは独り暮らしをする。公園で白髪の元小学校教諭ハナコと知り合い、深い穴に落ちたと苦しい胸のうちを告白する。だが、ハナコやその教え子のパン屋の主人トラジロウがもっと苦しい思いをしてきたことを知り驚く。
ハナコの口利きで、マリコはパン屋で働くことになった。ある日、トラジロウが貧しい小さな姉妹に金も貰わずパンを渡したのを見て、それを偽善と非難する。トラジロウは偽善で何が悪いと言い返す。ハナコも同じ意見だった。釈然としないマリコは店を休んだ。そんなある日、パンをあげた幼い姉妹がいじめにあっているのを目撃し助ける。姉妹のうち姉が高い志(医者になって人を救う)を持っていることを知る。同時に小さなことに拘っている自分が恥しくなり、再びパン屋で働く。
マリコは自作のパンをトラジロウに食べてもらう。トラジロウはハナコに電話して、マリコの目に輝きが灯ったことを報告した。それは深い穴から這い出した証拠でもあった、
ケンタロウが脳梗塞で倒れた。マリコが見舞に来て、帰った後、ヤヨイはケンタロウにマリコの所へ行くことを勧める。
ケンタロウはパン屋を訪れ、一緒にパンを食べる。その後、「みんな何かの役に立つために生まれてきた。少し痛んでいたから捨てるのは間違っている」というマリコの話を黙って聞いた。

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