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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「化身」 第四話

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外に居た鬼は祠の中に入ってきた。
床下から作治は飛び出して、弓をいっぱいに引き鬼めがけて放った。

「バカ者!そのようなもので倒せると思っておるのか」

そう叫ぶと恐ろしい力で作治を投げ飛ばした。
祠の壁が壊れ外へ飛び出すほどの力だった。

刺さった矢を引き抜くと鬼はつぶやいた。

「毒を塗っておるな。小癪なことを・・・おれの身体は今は人間ではない。人間に効く毒など無意味だ」

菊は絶望した。
覚悟を決めて目を閉じていた。

軽々と菊の身体を脇に抱えて鬼は来た道を引き返して行った。
翌朝村人は自分たちに何事もなかったことを喜び、新年を祝った。
投げ飛ばされた作治は生きるか死ぬかの境目を彷徨っていた。

一月が過ぎ作治の容態が回復して大晦日の災いのことを話せるようになっていた。
村長と取り仕切る年長者が集まって話題は今年の大みそかのことになっていた。

「作治が考えたトリカブトの毒も妖怪には効かなかったようじゃのう。さてもう手立てはないものかのう」

村長の嘆きに作治は返答した。

「俺は床下で奴の話すことを全部聞いた。自分が毎年この村に娘を食べに来るのは好き好んでではないと。何でも百年ほどの昔に自分の村が焼き討ちにあって一族が殺された時に、娘の怨念がこの村の誰かの魂に封じ込められていてそれが代々子供に伝わり、自分が見つけ出し食べることで娘が救われ自分は永久に人間として生まれ変わることが出来ると話していた。
この話が本当ならこの村の先祖が奴に行った仕打ちが事の起こりとなっているように思えるのだが、長老たちはご存じないのだろうか?」

「作治、その話はまことか?」

村長は食い入るようにして作治を見つめた。

「もちろん本当だとも。はっきりとこの耳で聞いたことで嘘偽りではありません」

「うむ、深い因縁が存在するという事だな。白鬚神社の主に聞かねば解らぬ話であろう」

「白鬚神社とは?どこのことなんです?」

「作治、西側にある水無瀬村じゃ」
作品名:「化身」 第四話 作家名:てっしゅう