「恋愛病院 不倫病棟パート2」 第七話
「はい、水穂さん、率直にお聞きします。遠藤さんのあなたに対する気持ちはお判りなんですよね?」
「もちろんです。とってもいい方なのでお付き合いさせて頂いていますよ」
「それをお聞きして安心しました。ではどうしてセックスへの不満をぶつけられたのですか?」
「はい?ああ、そう言う事ですね。彼は自分だけ満足して終わってしまうのでちょっときつく言いました。私が満足させてもらえないのなら付き合いたくないと、です。この先どんなに好きな人でもまだ何十年とセックスはするわけですから、耐えられないかな?って感じたんです」
「彼との生活よりあなたのそういう思いが優先するという事でいいのですね?」
「今の自分の暮らしに特に不満はありません。再婚も絶対条件じゃありませんし、子供もすぐに欲しいという気持ちになっていませんからいけませんか?」
「彼のあなたに対する純粋な気持ちは、あなたにとってそれほど強く感じられないという事ですね。私は彼に立ち直って欲しいのでここで入院してもらって男として頑張れるように治療します」
「入院して治療すると言われましたね?そんなことが出来るのですか?」
「もちろんです。私共には美人で優しく優秀な女性スタッフが三人居ますので、彼女たちに遠藤さんが男として女性を満足させることが出来るまで指導します」
「指導する?セックスをするという事ですよね?」
「はい、そうですよ。遠藤さんがどのぐらいで自信を持てるのか解りませんが、きっと退院して新しい彼女さんと男らしさを増して幸せになってくれると信じます」
鉄男の言葉を聞いて水穂はちょっと考えていた。
彼女にとって遠藤はセックス以外では申し分のない男性だと感じていたからだ。
「先生、遠藤さんと話をさせて戴けませんか?」
隣の部屋で早奈枝と話していた遠藤が呼ばれた。
「遠藤さん、ここで治療してあなたが男の自信を持てたら私は嬉しいので、待ってるわ。その時が来たら教えて」
遠藤は鉄男の顔を見て、早奈枝の顔を見て、水穂に答えた。
「水穂さん、いつになるかわからないし、治療に専念したいから一旦別れましょう。その時が来て気持ちがあったら連絡します。これまでのことありがとう」
それを聞いて水穂は泣いた。自分の身勝手さに気付かされたのだ。
「入院してくれなくていい!今のあなたが好きなの」
その思いは鉄男と早奈枝と何より遠藤が望んでいたことだった。
作品名:「恋愛病院 不倫病棟パート2」 第七話 作家名:てっしゅう