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てっしゅう
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novelistID. 29231
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新連載!「化身」 第一話

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「悪く思うな。これも村を救うためだ。聞いているだろう?」

娘は菊と言った。

「菊は父にお前が村のために里に行くのは幸せなことだと思え、と言われました。作治さまの言いつけを守っていかようにも従います」

「何という健気な・・・幾つだ?」

「はい、十二でございます」

「男は知らぬよな?」

「えっ?そのようなことは存じません」

「すまぬ。おれはどう見える?」

「作治さまは立派な殿方だと伺っております」

「そうか。嬉しいぞ。何が立派だと思う?」

「何が?立ち振る舞いでございます」

「違うぞ。立派なところを持っておると言う意味だ」

「仰る意味がよく解りません」

「見たことは無いのか?男のあれを?」

「何故そのような卑猥なことを仰るのでしょうか?菊をいじめないで下さいませ」

「それはな、菊が美しいからだ。何も知らずに渡してしまうのは惜しいと思っておる」

「ご冗談はお止めください。菊はまだ子供でございますよ」

「すぐに大人になれるぞ」

「そのようなこと・・・辱めると言われるのですか?」

「怒ったのか?怖い顔をしておるぞ」

「怒りましょうぞ。わたくしはそのようなお役目を授かってはおりません」

「役目はな。おれの気持ちがそう言わせるのだ。菊がいとおしいと感じるからな」

「では、菊を大切になさって下さいませ。お役目のためにはどのような事でも覚悟はしております」

「どのようなことでもだな?それを覚えておこう」

作治は無垢な菊を抱いて女にしてから相手に渡そうと狙っていたが、しっかり者の菊に跳ね返されてしまった。
昼時に持参した握り飯を食べて、日が落ちる前に上田の庄に二人は着いた。
千曲川の流れはそれを初めて見る菊を驚かせていた。

町中に漢方医は居なかった。少し外れた場所で古い民家に看板が掛かっていたのを菊が見つけた。