CROSS 第3話 『反逆者との交戦』
プラスチックが砕ける音が、ブリッジに響き渡った。
その音のあと、ブリッジに静寂が訪れた。少佐たちの動きも
凍ったように止まった。
パラパラと、プラスチックの粉や小さな破片が床に落ちた。
少佐以外の4人の尉官の視線が、少佐のすぐ後ろで止まった。
静寂の中、少佐がゆっくりと振り返ると……、
そこには、椿が鬼も逃げ出すレベルの形相で立っていた。
彼女の右手のにぎりこぶしからは、粉がこぼれ落ちていた。
それは、プラスチック製のダイスの粉であった。
「何やってんですか!!!」
椿が大声で怒鳴った。 しかし、よく怒鳴る女の子である。
怒鳴られる原因をつくる少佐たちも悪いが……。
「……歯ぁくいしばれ! 修正してやるわ!」
椿がげんこつをつくって、少佐の顔を殴ろうとした。さす
がに、無事では済まないと思ったのか、少佐はパッとその場
から離れた。だが、怒りが収まらない様子の椿は、少佐に近
ずく。
「修正してやるって、どこのガンダム乗りだよ!」
「言ってきかないんだから、仕方がないでしょう! 自業自
得です!」
少佐と椿はブリッジの真ん中にある少佐専用席の両側で向
かいあって対峙した。
ピーピー!!
ブリッジに突然、緊急的な電子音が鳴り響いた。索敵主任
である佐世保中尉が、急いで自分のポジションに戻ろうとす
る。
作品名:CROSS 第3話 『反逆者との交戦』 作家名:やまさん