CROSS 第3話 『反逆者との交戦』
第7章 戦いのあと
特務艦は、あちこちが破壊されていた。外側の壁が裂け、
外の真空の異次元空間へとの穴があいていたり、あちこちの
機器が火花を上げたりしていた。その穴や機器などを、生命
維持スーツを着た隊員たちが修理している。司令部の修理ド
ッグまでの応急措置だ。その修理している場所を、生命維持
スーツを着た山口少佐と椿少尉が次々にまわった。
「かなりやられましたね」
次の破損箇所に向かいながら、椿が少佐に言った。しかし、
少佐は何も答えなかったが、周りに誰もいない場所まで来る
と、
「オレが死ぬか、おまえが一度死ねば、おまえの任務は終了だろ?」
少佐は椿と顔をしっかり見合わせ、小声でそう言った。
「……少佐。たしかにそうなれば、任務は終わりです。ですが、いい加減に済ませるのは、プライドが許しません」
椿ははっきりとそう言った。
「おまえは俺たちと同じ世界の住民じゃないんだ! ただ雇われているだけだろ!」
「住む世界が違うからなんなんです!? 私は金のためだけに働いてるんじゃない!」
「じゃあなんだ?」
「……いずれわかります」
「なんだよそれ……。って、おい! どこ行くんだ!」
会話の途中で、椿は少佐を置いて行ってしまった。
「ブリッジです! もう少しで発進できるようですから!」
椿は、一切振り返らずに大声で言うと、少佐が見えないとこ
ろまで行ってしまった……。その後ろ姿を、少佐は寂しそう
に見ていた。
作品名:CROSS 第3話 『反逆者との交戦』 作家名:やまさん