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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「優しさの行方」 最終話

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幾日か過ぎても友幸は夢を見ることは無かった。
精神的に落ち込んでいた自分を救ってくれたのは母親の静江だった。
あの日のことを伝えて母はしばらく泊まりがけで来てくれた。
仕事を休んでまで息子のことを心配していたのだ。

たまきへの切ない思いはやがて消えて、本当の彼女を見つけたいと考えるようになった。バイト先の女子大生も彼が居ないと話していた。
こんな時に年上は頼れるというか、わがままを聞いてくれるというか、思い切って誘ってみた。

「友幸くんのことは前から好きだったのよ。気付かなかった?年上だから遠慮してたけど、嬉しいわ。夢の中の彼女さんのような美人じゃないけど、我慢してね」

「そんなこと言うなよ。もう夢の中はこりごりだよ」

「そうね。ね?今夜泊まってもいい?」

「ええ?急にそんなことしていいの?」

「うん、だって誘ってくれたじゃん。それって好きという事でしょ?私のこと」

「まあ、そうだけど。積極的なんだね」

「まだバージンよ。嘘じゃない」

「ええ?」

誰かもそう言って積極的に迫ってきた。女性とはそういう生き物なのだろうか。
友幸は思い出してちょっと笑った。
現実の彼女はあの時のような感触ではなかったが、始まってからすぐに「子供が出来ないようにしてね」という言葉を聞いて、これが本当なんだと思わされた。

袋から取り出してぬるぬるしたゴムを被せると、彼女も覚悟を決めたのだろう少し腰を浮かせるようにして「来て!」と言う仕草をした。
私を初心者だと思っていたのだろう。
やがてその動きに合わせるように初めてとは思えない大きな声を出すように感じていた。

「友幸って初めてじゃないの?経験あったんだ」

「うん、まあね。でも本当の女性はキミが初めてなんだよ」

「本当の女性?変な事言うのね」

「ごめん、意味不明だよね。これからずっと仲良くしようね」

「もちろんよ。こんなに気持ちいいって思わせてくれるんだもん!」

「そこだけなのか?」