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小説で遊ぼう

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小説で遊ぼう

小説を書いてて、いろんな作品を読んだりするけどね。本当何のためにこの人、小説書いてるんだろうと思う事たまにあるよ。
 アクセス数の不正で騒いだりする奴もいるけど、ちゃんちゃらおかしいね。そんな無意味な行いに腹を立てるってことは、
「先生、中山君がドリルの解答を見て、宿題やってきました」なんて小学生みたいなことを、いまだにやっているのかい?
 小説なんだから自由に書きゃいいし、前、ジパングとか言ったかな?基礎知識が足りなさすぎとかいうコメントをよこしやがったけど、小説を書く上での、基礎知識ってそもそも何?
 そりゃあ、スキルとか必要だろうよ。
 例えば形容なんてものは大事だね。
 こんなフレーズがあったとする。

 私は父のいないこの子を抱きながら職安の中に入った。そこにはとてもたくさんの人達がいた。私はそれでもこの子と共に生きていかなければと固く誓い、この子を強く抱きしめた。

 まあ何てことのない平凡な文章だけど、最悪だな。
 まず「とてもたくさんの人達」これがいけない。どうにかならなかったものかね。ここの形容を何かに変えればいいんだけど、言葉って無限にあるものだと思っている人いるでしょ?でも言葉って有限なんだよね。実は知らず知らず、いくつかの候補の中から消去法で言葉を決めてるんだよね。
 
このからくりを制する者は形容を制す。

例えば「とてもたくさんの人達」を、一つは「星の数ほどの人達」、もう一つは、「砂浜の砂の数ほどの人達」という2つの候補があったとする。どちらがいいか。

私は父のいないこの子を抱きながら職安の中に入った。そこには星の数ほどの人達がいた。私はそれでもこの子と共に生きていかなければと固く誓い、この子を強く抱きしめた。

どう?おかしいでしょ?太宰治も喜劇名詞と悲劇名詞の使い分けをしていたけどさ。悲劇の中に「星の数ほど」なんて喜劇名詞みたいなものぶっこんじゃったらおかしいよね。
喜劇だったら喜劇。悲劇だったら悲劇。これは基本中の基本でしょ。
でも、もう一つの「砂浜の砂の数ほどの人達」を入れたらどうなるか。

 私は父のいないこの子を抱きながら職安の中に入った。そこには砂浜の砂の数ほどの人達がいた。私はそれでもこの子と共に生きていかなければと固く誓い、この子を強く抱きしめた。

 まあ、さっきよりはましになったかな。砂浜の砂の方が重く感じる。いくらかフィットしたかな。でも芸がない。こんな時、

 石川や 浜の真砂は 尽くるとも 世に盗人の 種は尽くまじ
 
なんて句、知ってたとする。この句の暗い背景を知っていれば、悲劇名詞にぴったりだろ。
この「浜の真砂は」を使えば、

 私は父のいないこの子を抱きながら職安の中に入った。そこには浜の真砂の数ほどの人達がいた。私はそれでもこの子と共に生きていかなければと固く誓い、この子を強く抱きしめた。
 
 ようやく整ったろう。小説の世界は何でもアリなんだよ。小説で遊ばなきゃ。他にもスキルなんていっぱいあるぜ。
 でも俺が言いたい事は、そんな小説を書く上でのスキルなんかじゃなく、もっと別の根本的な事だよ。スキルなんてどうでもいいんだよ。そんなの時間が解決する。

本当、何のために書いているのか。自分を解放しているか。生きた鼓動を感じられるか。作品も大事だけどね。小説書いている人の私生活の話も触れたいね。

当然大人なんだから、会社だったり会社みたいなもんの中なんかで働いていて、ストレスがあったり、人間関係で悩んだりするだろう。しない奴っているのかい?まあいいや。
ジュクの雀鬼って言われている桜井章一っていう麻雀で、20年間無敗だった裏プロって知っているかい?彼がどんな人か直接あった訳じゃないから俺もよく分からないけどね。でも彼の言葉で、
「人をだますな」
 そんな言葉を弟子たちに伝えているんだ。麻雀の世界で、人を騙すななんて、大都会で人を騙すななんて、矛盾しているようだけどさ。いやむしろ都会だからこそ、「人をだますな」なんだよ。そうさね。
 あの桜井章一に群がる人達ももともとは人間不信だった奴らが多いんじゃないかな。
 でも人を信じられるようになったら、本当の自分を出せるようになったら、あの
「人をだますな」
の言葉の意味が分かってくるよ。
 真実味の作られた、まことしやかな話を作る必要なんて何もない。
 本当の事を言えばいいんだよ。無理にとりつくろうより、本当の事を言った方が、誤解が解け、損なみられ方してたものが、君の変わった一面を知ってくれて、君の事を誤解しなくなる。
 実はそんな真心があったのかと向こうは発見して、分かってくれる。

 ねえ、とりつくろう事が癖になってしまっているのかい?

 もう怖がらなくていいよ。大丈夫。君は君自身を社会にさらすには十分なユニークさをもっているよ。
 
社会に参加しようよ。
 自分が弱かったら、少しづつ、少しづつ、強くなればいいんだ。だからごまかすのはやめようよ。人間不信なんてものと、おさらばして、社会に参加しようよ。
 芸術家であろうと社会参加。
 小説家に、つまり、話を作る人に話を作るなって矛盾しているようだけど、それでも本音で生きようよ。そう、小説でなくても、絵でもいい、歌でもいい、芸術家と言えども社会参加。
 ――そしてあなたの心の中にあるTrue Storyを大切にして――
                               (fin)

 
作品名:小説で遊ぼう 作家名:松橋健一