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てっしゅう
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novelistID. 29231
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「優しさの行方」 第八話

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「何もしてないよ・・・た・ま・き・ちゃんじゃないのか?」

「ウソをつけ!前に来ていた霊媒師と何か企んだな」

「ボクはキミを守るために一切本当のことを言わなかったんだ。それよりキミは誰なんだ?なんでたまきちゃんの恰好をしてたんだ?」

恐怖が迫る前で友幸は妙に落ち着いていた。大好きだった、たまきの姿に化けていた目の前の、何と呼んだらいいのだろう男の姿をしている奴を許せなかった。純粋な思いを踏みにじられた思いは恐怖をかき消し怒りとなって立ち向かうエネルギーと化していた。

「くそう・・・身体に回ってきやがった・・・覚えていろ、戻って回復したら復讐に来る」

「その時はボクも許さないぞ。霊媒師に頼んでお前を完全に封じ込める」

「何を!・・・くそう・・・帰らないとやばいぞ。覚えて置け!」

そう言うと醜い表情のやせ細った男の幽霊のようなものは消え去った。
部屋に残された友幸は天井を見つめ、そして目を閉じて今までのことが嘘であったこと、自分が抱いていた、たまきがあの男の変身だったこと、霊媒師の言葉が真実であったことなどを何度も何度も思い出して涙が出てきた。

天井から一枚の紙が舞い降りてきた。手に取るとそれは無くしたと思っていたヌード写真だった。黒くマジックで消された跡が薄くなったまぎれもない自分のものだった。

「たまき!」

そう叫んで、本当はたまきだったんだ。きっとあの男がたまきに化けて自分を騙そうとしたに違いない、そう思いたくなった。
本当のたまきは向こうの世界に居るんだ。また夢を見るかも知れない。
その時は本当のことを聞こうと自分に言い聞かせて慰めるしかなかった。