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カクテルの紡ぐ恋歌(うた)Ⅱ

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 美紗は、二人の幹部が言い争うのを、申し訳なさそうに黙って見ていた。松永に何かと気にかけてもらえるのは有難いが、裏を返せばそれは、頼りないという評価の現れだろう。そんなことを考えていると、背後から急に声をかけられた。
「鈴置さん。急遽、助っ人を頼んで悪かったね。次の時間、よろしく頼むよ」
 振り向くと、第1部長の日垣が、濃紺の制服の上着と薄い書類入れを小脇に抱えて、立っていた。美紗は、必要なものを詰め込んだ書類ケースを抱えて立ちあがった。「よろしくお願いします」と言いかけて、声が尻すぼみになった。いつも通り穏やかな顔をしている上官が、なぜか少し威圧的に見えた。