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からっ風と、繭の郷の子守唄 第40話~45話

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からっ風と、繭の郷の子守唄(41) 
「窮すれば則ち変ず・・・・古農が語る桑の大木のいわれ」

 「窮すれば則ち変ず、変ずれば則ち通ず、通ずれば則ち久し。
 物事が行き詰まると、行き詰まりを打破しようとしてまた、変化が起こる。
 変化が起こればそこから道は開ける。
 道が開ければまた先へ進む。だが、また同じように行き詰まる。
 打破しようとしてまた、別の変化が起こる。
 このように、物事というものは無限に繰り返される。道は永遠に続いていく。
 古代中国の『易経(えききょう)』に、森羅万象の変化の法則として
 記されておる。
 どうした、康平。久しぶりにいき会ったというのに、今朝はいやに真剣だな。
 難しい顔をして空を見上げておるが、何事か始まるのか。
 夜が明けたばかりだというのに、UFOか、人工衛星でも見えたか。
 かぐや姫が月へ帰るのは満月の晩であるぞ。
 もしやホウキにまたがって空を飛ぶ魔女でも観たか。
 それともなにか、天変地異の前触れでも見たか」

 背後から声をかけてきたのは近所に住む、徳次郎という古農。
朝早くからの農作業をひとつかたずけてきた。
首にかけたタオルで汗をぬぐいながら、康平へ声をかけてきた。