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てっしゅう
てっしゅう
novelistID. 29231
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「恋愛病院 不倫病棟」 第四十四回

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鉄男はなじみの料亭を利用していた。患者のことや病院の治療内容などは他人に聞かれたくないので、個室のある落ち着いた場所が気に入っていた。

私服に着替えて三人は鉄男の車で料亭に向かった。

「先生、今日は何のお話があるのですか?」

「早奈枝くん、里紗くん、率直な意見を言ってくれればいいから遠慮しないでくれ。今の二人の勤務を見ていると忙しすぎると考えているんだよ。そこであと一人看護師と言うか治療に参加してくれる女性を雇用しようと思っているんだけど、どうかな?」

「私たちと同じことをする看護師を見つけたんですか?」

「見つけたというより、希望があったんだよ。身元ははっきりとしているから大丈夫なんだ。最初は病棟で看護の手伝いをしてもらおうとも考えている。いきなり患者さんの悩みを受け付けるというのは難しいからね」

「その方、看護師さんなんですか?」

「いや、資格は無いからどうするかは考えるけど、ヘルパーの資格でも取ってもらうことにする」

「注射したり、点滴するわけじゃないから看護師の資格なんて要らないと思いますけど、その方が私たちのやっているようなことが心から出来るのか疑問です」

「そうだよな。特殊だからね。でも中身を知っていて自分もやってみたいという事だから、慣れてくれれば十分に仕事は出来ると思うけどね」

早奈枝は少し表情が変わって、鉄男の話している女性が志津じゃないかと思うようになった。
昨日会って話が今日のタイミングだったから、余計にそう感じたのだ。

「先生、その方って、志津さんじゃないの?」

「ああ、そうなんだよ。昨日話していてどうしてもって頼まれたんだよ。自分のやりたいことが見つけられるって、ね」

「ふ~ん、先生それで雇うって言ったんですね?」

「君たちが反対するなら断るよ。病院は私がやっているようなものだけど、実際の治療は早奈枝くんと里紗くんのお蔭で出来ているからね。無視は出来ないと思って相談してるんだ。里紗くんはどう思うかね?」

「人が増えて勤務が楽になるのは単純に嬉しいですが、その方と先生との関係はそのう無いんですよね?」

「当たり前じゃないか」

「なら私は反対しません」

「早奈枝くんはどうかな?」

「志津さんはしっかりとした人だから安心だけど、お願いがあります」

「なんだい?」

「私に内緒にしていることを話してください。里紗さんが居る今がいいです。それを聞いて意見します」

「内緒にしていること?志津さんとのことでか?」

「はい、私には解るんです。先生が何故この話を持ち出したのかがです」

それは鉄男には予測しなかった質問だった。