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レイドリフト・ドラゴンメイド 第9話 シエロの決意

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 シエロの叫びは、自分でも制御できない怒りが嵐となったようだ。
「お前の話道理だとすれば、お前の存在は物理法則から破たんしている! すなわち世迷言だらけだ! なぜ! 猫と言う愛玩小動物が、車に轢かれたら兄と呼ぶ真脇 応隆から人の姿を与えられ、魔術学園に行けば生徒会で重要なポスト、異世界の女神ボルケーナの加護を得て、アイドルグループのメイトライ5ではセンター、正義の味方レイドリフトをやって、彼氏までいるのか!? 」
 ドラゴンメイドは、これらの質問にすべて答えることができた。
 というか、あそこで暴れている、メイトライ5の立場は!?
 彼女が答えることができたのは、一言だけだった。
「わたしも同じことで、心配してるんだよ! 」
 ロケット砲3発目が装填される。悔しくてたまらない。
「ぺチャパイ! アバズレ! ロリコンの餌食! 」
 シエロは炎のように叫び、ロケット砲を放った。
「な、何だとぉ!!! 」
 それをドラゴンメイドは撃ち落さなかった。
 プラズマガンで狙ったのは、シエロ達のすぐ横の、堀の水。
 たちまち蒸発した水が、衝撃波と熱となって巻き上がった。目くらましだ。
 両手で地面をたたき、その反動で体を立たせる。
 ロケット弾が飛んできたが、前へ進んでよけた。

 太もものスリットが開き、まだ充電途中のランナフォンを取り出す。
 ランナフォンは柱状のまま、平らな端から圧縮空気を出し、前へ突き進む。
 合成開口レーダー。
 小さなレーダーでも、そのレーダーを大きく移動させることで、大きなレーダーと同じように使う技術。
 ランナフォンには、短距離での無人偵察機としての機能もある。
 他にもビデオカメラ、赤外線センサーも使い、探すのは弾幕の行方だ。
 ランナフォンが通り過ぎるのは一瞬。
 その一瞬で十分だ。
 水蒸気爆発でずれた弾幕、再装填が必要な銃まで特定した。
 それに、勝利のカギもやって来た。

「達美ちゃん! 」
 データリンクでやり取りはしていても、視線を感じ、声をかけられる現実感にはかなわない。
 たちまち水蒸気に覆われるチェ連兵の上に、ドラゴンメイドより大きな翼が降りてきた。来てくれた。
 その翼の主の視線と声に、大きな安心を感じながら、ドラゴンメイドは銃弾の飛び交う水蒸気に駆け込んだ。