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きんぎょ日和
きんぎょ日和
novelistID. 53646
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探し当ててもらえないサツマイモ…。

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お母さんからの電話で、
『上がまだあるって言うから掘ったけど、見付からないよ!!もう土が固くて掘れないから、三叉のクワを買って来た。これで今度は掘る!!』
と意気込みを伝えて来た。
何を言われてもこっちはサツマイモを食べられないのに、こっちの気持ちは分からないのかねぇ~と思う私。

それからその新しいクワで芋掘りを数日ほどがんばっていたようだ。
でもイモは現れることなく…が続いて、そして電話が掛かって来た。
しかも芋掘り中に…。

『はい。』
と私が出るなり、
『掘っても掘ってもイモはないよ~。何処にあるの!!イモは!!こんなクワまで買ったのに~。全然イモが出て来ない!!』
といきなり言われた。
そんな事言われても…。
『だーかーらー、私が言ったんじゃなくて、上があると思うって言ったんだから、こっちに言われても困る!!頑張って固い土を掘り起こして、イモを探して!!』
と私も言い返す。
お母さんはイライラしたまんま、
『毎日、掘ったけど何処にもないからこうして電話を掛けて、掘りながらないって言ってるの!!』
と訳の分からない事をまた言って来た。
『じゃあ、そのまんま探し続けたらいいんじゃないの?!』
『あなたは土がどれだけ固いか分かってないからそういう事を言うの!!信じられないくらい固くなってるんだから!!』
と説明して来た。
『じゃあ、イモを諦めたら?!』
と私は冷たく提案した。
お母さんから、
『それはイヤだっ!!諦めない!!』
と即答。
私も返す言葉がない。
それでもお母さんは諦めずに、
『それで、イモは何処にあるの?!』
と聞いてくる。
『だから私が言ったんじゃない。上が言ったの!!』
と私が返したら、
『じゃあ、上に何処にあるのか聞いて!!』
と直接言って来た。
私はハッとした。
…そこには気付かなかった…。
そんなやり取りを黙って見ていたようで、
『お母さん、イモはありませんか。』
と上がため息混じりに聞いて来た。
お母さんは大きな声で、
『ありません!!』
と答えた。
『私にはあるように見えますがね~。』
と上が言うと私の頭の中に畑が見えて来て、光っている場所が見えた。
『あっ、お母さん見えた。イモのある場所だと思う。』
と言うと、お母さんのテンションが上って、
『どこどこどこどこ?!』
と受話器から出て来そうなほど近くに感じた。
『え~っと、畑の形を長方形に見たとして、それで、え~っと、真ん中を中心に…隣の家側じゃなくてお寺さん側の…。』
と言いながら、空中の物を想像してそのまま人に伝えるのがとても下手な私なので、丁度キッチンにいた私は、冷蔵庫の扉に指でエアー畑を描いて目で見ながら伝える事にした。
『ちょっと難しいので、冷蔵庫に描きながら…(私の独り言)、畑を長方形に見たとして、真ん中を中心として…左下の方にある。隣の家側じゃなくて、お寺さん側に左下。え~っと、長方形に対角線を引いたとしたら、お寺さん側の角に対しての線上の…。』
と説明していたら、
『あったーーーっ!!あった、あった!!』
とお母さんの感激する声が聞こえた。
『あっ、まだ…説明中~…。でも、あったんだね…。でも、説明中~…。はぁ~。』
と最後まで説明したかった気持ちが否めない…。
落ち込んでる私にお母さんは、
『他に他に?!他に何処にある?!』
と高くなったテンションで聞いて来た。
ため息を出して、まだ他にあるかと見えてくる畑を見つめた。
見えたので、落ち込んだまま次のサツマイモの場所をまた冷蔵庫にエアー畑を描いて説明を始めた。
『次は、隣の家側で、さっきの対角線の…。』
と言っている側から、
『あった~っ!!』
と聞こえた。
また全部説明させてもらえなかった…。
『もう、自分で探せてるんならこっちに聞かないで!!意味分からん!!』
とイライラが始まる私。
そんな私の気持ちを察したのか、
『いや~、あなたがヒントを来れないと分からないから、あなたが頼りっ!!』
なんて言って来る始末。
そんなお調子に乗せられる私ではない。
『いいや、頼ってない!!もういいから、後は自分で探して!!』
と私は言った。
そのまま探し続けるかと思いきや、
『よしっ、これでお終い!!』
と勝手にお母さんは終了してしまった。

私の見えてる畑にはまだイモがあるように感じる。
でもこのイモ達は探してはもらえずに、そのまま陽の目を見ることなく土に返るのだろう。
それは自然の摂理。

そして探し当ててばかりの私には、結局一本も送られて来なかった…。
探し当てても食べることすら出来なかった…2015年…。